- 第1話「囚人(Confined)」
- 評価: ★8.0/10(IMDbユーザー評価)
- 次回→第2話
海外の反応
「本編を観始めてすぐに、美しいアニメーションにやられたよ。この番組が本当に恋しかった」
「オメガの独房にあるタリーマークが、時間の経過を正確に教えてくれるのは非常にありがたい。冒頭では3週間だが、さらに数か月がたっており、第2シーズンからは5か月経っているはずだ」
「オメガは自分のために小さな人形を作った・・・悲しいね」
「つまり、M値はミディクロリアンの数だよね?」
「クロスヘアーは新カノンの中で最も好きなキャラクターの一人だ。<望みのないことに時間を費やすな>という彼の心情を吐露する台詞は、心に響いた」
「第一話は、スター・ウォーズのピークだね。エピソードのトーン、プロットと一人のキャラクターへの献身。惚れ惚れするよ。全エピソードがこうあって欲しい。『キャシアン・アンドー』と『クローン・ウォーズ』の融合のようで、すごくいい」
「オメガがバッチャーに食べさせていた食べ物が、完全にチキンナゲットだったってことをみんなは無視するの?」
「帝国は蛇口の水漏れすら直せないんだ😤」
あらすじ
タンティス山に向かうシャトルがトラブルで基地の防衛戦の外に墜落する。そこは凶暴なクリーチャーが徘徊する危険な世界。責任者のヘムロック博士はそのシャトルの乗組員を無情にも見捨てた。
一方、タンティス山に囚われているオメガは、基地内での雑用を任せられていた。殺風景な部屋で寝起きし、「姉妹」であり、ヘムロック博士の助手であるエメリー・カーに監視された生活。帝国は彼女たちクローンを研究し、M値(ミディ=クロリアン値)の増強をもくろんでいたのだ。その計画の要であるナラ・セを従わせるため、オメガは幽閉されている。ナラ・セは帝国の計画に渋々協力しつつも、「特別」なオメガを守るために彼女のサンプルを処分していた。窮屈な日常の中、オメガは、ハウンド(猟犬)のバッチャーと実験体にされている「兄弟」のクロスヘアーという心を一向に開こうとしない一匹と一人を気にかけている。彼女の心の支えは、藁で作った人形ぐらいだった。
数か月の時が立ち、髪が伸びたオメガは後ろで髪をくくるようになった。日常は相変わらず繰り返されている。ある日、オメガはバッチャーが怪我をしていることに気付く。このままでは殺処分されてしまうと恐れたオメガは危険を顧みず、治療を施す。
その甲斐あってバッチャーの傷は癒え、二人は絆を育んだ。だが、帝国はバッチャーの性格が丸くなって猟犬には不適当だと判断し、非情にもその殺処分を決定する。オメガはドロイドとの激闘の末、バッチャーを逃がすことに成功した。そこにヘムロック博士が現れ、冷笑する。「助けたつもりか?野垂れ死ぬだけだ」と。オメガは「それはわからない」と猛反論し、自分は人質として有用だから傷つけられないはずだ、と強気な姿勢を見せる。だが、ヘムロックは代わりにクロスヘアーを傷つけることをほのめかして彼女の心を折る。エメリーは、オメガを励ますために、没収した人形を返すぐらいしかできなかった・・・
レビュー
いきなりとても素晴らしい一話であった。今までの子供向けの明るさは失われ、単調な日常の閉塞感に包まれた重苦しい雰囲気が支配する。『キャシアン・アンドー』の刑務所のアークを思い起こさせるような回だった。窓からの月光や滴り落ちる水滴、檻を強調するカメラワークなどの細かい演出が効いている。
そんな中で、オメガは心を開かない檻の向こうの一人と一匹・・・クロスヘアーとバッチャーを気に掛ける。両者の状況はうまくオーバーラップしている。クロスヘアーをはじめとしたクローン・トルーパーもかつて共和国の「猟犬」として飼いならされていた。しかし、その猟犬たちは自我に目覚めたことで用済みと見做され、処分の憂き目にあう。ヘムロック博士は「基地の外では生きていけないだろう」とバッチャーを逃がしたオメガを冷笑する。帝国から捨てられたクローン・トルーパーの未来はないと告げるように。だが、シーズン2を通じて「兵士ではない第二の人生の可能性」を知ったオメガは反発する。自由を得たバッチャーは遠吠えをあげる。きっとクローン・トルーパーにも、同じように自由を喜ぶ瞬間が来るはずだ。
オメガの前向きな心はバッチャーを救い、また兄弟や姉妹も救おうとしている。クロスヘアーは「俺のことは忘れろ、俺はここでいい」と語るが、オメガは彼を決して見捨てようとはしない。エメリーは自分がヘムロック博士の助手に過ぎないと考えているが、オメガは「チャンスがあれば変われる」とその目をみて伝える。実際にクロスヘアーは諦めることはしなかったし、エメリーは規則を破ってオメガに人形を返した。ヘムロック博士からは馬鹿にされたオメガの「子供らしい前向きな心」が、兄弟姉妹を救う日は遠くないだろう。
ヘムロック博士がナラ・セに研究させている計画の一端も露わになったが、さらに詳細が第3話で描かれたので、詳しい内容はそちらのレビューで触れることにしよう。
豆知識
タンティス山
オメガが幽閉されている施設はタンティス山に存在している。タンティス山は、レジェンズで初登場した場所。帝国の崩壊後を舞台としたレジェンズ小説『暗黒の艦隊』では、スローン大提督がこの地のスパーティ・シリンダーを使用して急成長するクローンの軍団を用意し新共和国を追い詰めた。
パイロット
今回初登場した帝国軍のパイロットは、TIE ファイター パイロットの前身である「徴兵隊員パイロット」だ。
バッチャーの声優
バッチャーの声優を務めたのはシリーズでクローン・トルーパーたちの声優としておなじみのディー・ブラッドリー・ベイカー
日数を刻む
オメガの独房に刻まれたタリーマークによると、今回の物語は彼女がタンティスに到着してから 21 日後に始まり、164 日目頃に終了する。
また、日数を刻んだり、藁で人形を作ったりするオメガの行為は、『フォースの覚醒』主人公のレイを思い起こさせる
TKトルーパー
ウォー=マントル計画の産物であるTKトルーパーが基地の各地に配備されている。彼らは、クローン・トルーパーではなく、一般の人間の兵士で構成されている。
「皇帝が私ほど理解してくれるかはわからない」
ナラ・セの結果に満足できないヘムロック博士は、彼女を急かすために「皇帝が私ほど理解してくれるかはわからない」と語る。これは、『EP6/ジェダイの帰還』で、ヴェイダーが第二デス・スターの建造を急かすために、モフ・ジャージャーロッドに語った台詞のオマージュであろう。
人形
オメガは藁で新しい人形を作るが、これはバッド・バッチの下に残してきたトゥーカ・ドール「ルーラ」の代わりであろう。もともとはレッカーがルーラの所有者でこの人形を溺愛していたが、<マローダー>にオメガの寝床を作る際にオメガのベッドへと移された。
- 次回→第2話
- シーズン2総評:「普通ではない」元兵士が求める普通の生活
【『バッド・バッチ』シーズン3】