【レビュー・豆知識】ドラマ『アソーカ』第1話「師と弟子」【ネタバレ・あらすじ】

2023/08/23

アソーカ レビュー

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  • パート1「師と弟子(Master and Apprentice)」
  • 監督:デイヴ・フィローニ
  • 脚本:デイヴ・フィローニ
  • 評価: ★8.6/10(IMDbユーザー評価)

あらすじ


帝国一の戦術家で行方不明のスローン大提督を探すモーガン・エルズベスは、同じくスローンを探すアソーカ・タノの手によって捕らえられ、新共和国の船で護送中だった。そこに現れたのは、ジェダイを騙る二人組のベイラン・スコールシン・ハティ。二人はジェダイではなかったが、フォースの力とライトセーバーを操り、モーガンを助け出す。

一方のアソーカ・タノは、モーガンから聞き出した情報を基にナイトシスターの寺院から「地図」を発見した。後に明らかになるが、モーガンはクローン大戦中に全滅したはずのダソミアの“魔女”ことナイトシスターの生き残りだったのだ。モーガンの手の者と思われるドロイドを蹴散らし、アソーカは旧ジェダイ・オーダーからの知り合いであるヒュイヤン教授と共に脱出する。

そこに、新共和国から、モーガンが逃げたとの一報が。旧友であるヘラ・シンドゥーラ将軍と再会し、逃がしたのがジェダイに似た存在だと知る。ヘラは地図の謎を解くためには、サビーヌ・レンの助けが必要だと促す。スローンと共に行方不明になったエズラ・ブリッジャーのためなら、サビーヌは喜んで手を貸すはずだ。

惑星ロザルでは帝国からの解放を記念した式典が行われていた。スローンを道連れにハイパースペースへと消えたエズラを称えるものだ。彼の友人で、同じく英雄でもあるサビーヌはスピーチを行うはずだったが、警備の追っ手を振り切り、住処としている古い通信塔へと帰る。エズラからの最後のメッセージを大切に保管している彼女だが、同時にそのメッセージを悪夢として見るほど彼の喪失は心の傷となっていた。

アソーカは、そんなサビーヌの下に現れる。二人はかつて師弟関係にあったが、そりが合わずに決別していた。サビーヌは、アソーカの意見を無視して地図を勝手に持ち出し、二人の溝は広がる。ヘラは頑固な二人を仲裁しようとするが、うまく行かない。

家に帰ったサビーヌは地図の封印を解く。地図は、別の銀河を指し示した。そこに現れたのは、モーガンの指示を受けたシンとドロイドたち。サビーヌはドロイドを蹴散らし、シンには、エズラから譲り渡されたライトセーバーで立ち向かう。二人は激しく斬り合うが、力及ばずサビーヌは腹を刺されてしまう・・・

『反乱者たち』の続編


本作はアニメ『反乱者たち』の正統な続編で、満足できるものだった。キャラクターはもちろん、惑星ロザルも見事なクオリティが実写化された。作曲家のカイナーが続投したことで、音楽も懐かしさを覚えるものになっている。だが、『反乱者たち』からは10年が経過しており、まったく同じもとはいかない。それぞれに10年分の経験があり、10年分の成長があり、10年分の痛みがある。『反乱者たち』は明るく楽しい作風だったが、本作は広がった古傷と新たな脅威の台頭により、ほの暗い雰囲気だ。「過去の清算」がテーマの一つにあり、シークエル三部作にも通ずる。

ヘラ・シンドゥーラは、反乱軍が誕生した後もとどまり、今や新共和国の将軍だ。『ジェダイの帰還』にも登場した<ホーム・ワン>の指揮を担い、政府の要人になっている。『反乱者たち』で、チームをまとめる役割だった彼女は、本作においても、サビーヌとアソーカの架け橋になろうとする。


サビーヌ・レンは、エズラの後を継いで惑星ロザル駐在の中佐になっている。彼女の初登場シーンは、とにかく素晴らしい。ロック調の音楽を背景に疾走する姿には、一瞬で心を掴まれる。堅苦しい式典からの切り替わり。戦闘機との追いかけっこ。バイクを加速させ、滑り込む。サビーヌの自由奔放さ、大胆さ、アイデアマンの気質。全てが詰め込まれていた。

別のシーンでは持ち前の芸術家としての才能を発揮して、地図の謎を見事に解き明かす。『反乱者たち』シーズン4でも、サビーヌは「はざまの世界」へのポータルを絵画から発見していた。その才覚は変わっていない。


だが、サビーヌは古傷を抱え続けていた。きょうだいと呼べるほどの関係だったエズラを失った痛みが消えるはずがない。悪夢として見るほどその悲劇に憑りつかれている。しかし、どうすることもできない。そして、平和が訪れた今となっては、いつも一緒だったマンダロリアンのアーマーも部屋の隅で埃をかぶっている。新共和国のつまらない仕事に就きたくもないが、次にするべきことも見つからない。サビーヌは停滞している

そこに、エズラの居場所を知る手がかりを携えて、アソーカがやってくる。サビーヌに次に進むチャンスが訪れる。これは、『反乱者たち』の視聴者も知らなかったが、どうやら二人はかつて「師弟関係」にあったようだ。

師弟の再会


アソーカのT-6シャトルのベッドには、サビーヌの絵が描かれていた。二人はこの船で共に旅をしていたようだ。何があって決別したのか詳細は語られていない。だが、そりが合わなかったことがほのめかされる。サビーヌはアソーカが手厳しかったことを指摘する。さらに、サビーヌは元師匠の忠告を聞かずに、地図を勝手に持ち出す。アソーカはそんな元弟子のことをヘラに愚痴る。ただ、嫌な空気が漂うが、過去については観客の想像に任される。

自由奔放な芸術家気質のサビーヌと、弟子を厳格に育てたいアソーカの間で対立があったことは想像に難くない。元々はアソーカも自由人ではあったが、様々な経験があって変わっているだろう。アソーカは自分の訓練を終えておらず、「最高のジェダイでもダークサイドに堕ちる」ことを知っている。弟子には、正しい訓練を受けさせたい、そんな思いで、厳しく接したのかもしれない。サビーヌの身の回りには、エズラやケイナンというジェダイがいた。そして、ジェダイの自己犠牲の尊さと、その自己犠牲が周囲の人間を傷つけることを身をもって知っている。だから、自分はジェダイになれない・なりたくないと思ってしまったのかもしれない。とにもかくにも、二人は溝を深め、本作の前に決別した。

だからといって、周りから師弟として相応しくないと見られているわけではない。ヘラは、二人の再会をお膳立てし、師匠が弟子に手を焼くのは当然だとアソーカを窘める。ヒュイヤンは傍らで守ってくれる人が欲しいならパダワンを作れと暗に語り、二人が再会すると「じきに一人ではなくなるな」とアソーカに告げる。アザディ総督も、アソーカの話を聞くようにサビーヌに促す。周りは二人が共に歩むべきだと考えている。頑固者同士だが、なんだかんだ良いコンビだったのではないか

この二人の和解は、第二話で描かれた。詳細は、続きは次回のレビューにて。

二組の師弟


今回のタイトルは「師と弟子」であり、二組の師弟が登場した。一つはアソーカ・タノとサビーヌ・レン。もう一つはベイラン・スコールとシン・ハティだ。どちらも、「元ジェダイであり、かつシスも選ばなかった人」がマスターである。アソーカは『反乱者たち』のヴェイダーとの戦いで自分はジェダイではないと宣言し、今回ベイランも同様の宣言をしていた。そして、ライトセーバーの色がオレンジであることからもわかるように、ベイランもシスに属することを選んでいない。もう一つの共通点は、弟子が「パダワン」であるところだ。サビーヌは第二話でそう呼ばれるし、シンはパダワンを示す三つ編みをつけている。両者ともジェダイではないが、ジェダイに近い存在として扱われる。

しかし、実態は大きく違うだろう。アソーカは善の道に、ベイランは悪の道に進むという対比がなされている。また、弟子の素質も違いそうだ。サビーヌはヒュイヤンから「今まで見た中で最もフォースを操る能力が低い」と指摘される。彼女は、その能力から弟子に選ばれたわけではない。一方、シンは、テレキネシスを問題なく使っており、ある程度の能力はもっていそうだ。力を欲するベイランは、彼女の能力を見込んで、弟子にしたのではないだろうか。師匠が弟子に欲するものが違う、というのも注目ポイントだ。


今回の弟子同士の戦いは、シンに軍配が上がった。サビーヌは敗れ、瀕死の重傷を負う。だが、サビーヌは死の淵から蘇り、「生まれ変わる」。次の戦いでは、シンも苦戦することとなるだろう。ジェダイを捨てたアソーカとベイランが、どのように次の世代を担う弟子を育てていくか。その対比に注目したい。

今回は二話同時配信だったので、レビューの続きは第二話「苦悩と苦難」で!「地図」の詳細や、ジェダイを選んだサビーヌについては次回語るつもりだ。

豆知識

映画のオマージュ

冒頭のベイランとシンによる襲撃シーンは、様々な映画のオマージュが散りばめられている。二人の“ジェダイ”が到着する流れは『EP1/ファントム・メナス』、廊下でのフォースとライトセーバーによる虐殺は『ローグ・ワン』、“騎士が姫を救う”流れは『EP4/新たなる希望』に類似している。

ヒュイヤン教授とT-6

アニメ『クローン・ウォーズ』から、旧ジェダイ・オーダーの要素が二つ登場した。ヒュイヤン教授は、ジェダイ候補生のライトセーバーの制作を手伝っていたドロイド。ジェダイ・オーダーが始まった25000年前からオーダーに仕えている最長老だ。また、アソーカが乗るT-6シャトルは、ジェダイ・シャトルとしても知られていた。

フルクラム

アソーカとヒュイヤン教授は、「フルクラム」というコードネームを使っている。このコードネームは、アソーカが『反乱者たち』にて、反乱活動のエージェントとして活動するときに使っていたもの。

ホーム・ワン

ヘラ・シンドゥーラ将軍が指揮を執る船は<ホーム・ワン>。『EP6/ジェダイの帰還』に登場したクルーザーであり、アクバー提督の旗艦としてエンドアの戦いに参加した。

ナイトシスター


今回、モーガン・エルズベスがダソミアの魔女ことナイトシスターの生き残りだと判明した。ナイトシスターは、旧設定群レジェンズの小説『レイアへの求婚』にて初登場した種族。小説の設定ではダースサイドに堕ちたジェダイの末裔で、「魔法」を操っていた。本作が連なる正史においては、別のルーツを持つようだ。『クローン・ウォーズ』にも登場したが、ダース・シディアスに派遣されたグリーヴァス将軍らの手によって全滅へと追いやられた。主要人物では、ヴェントレス、メリンらがこの種族であり、ダース・モールはナイトシスターの息子だ。

『反乱者たち』要素の実写化


サビーヌ・レンが住んでいた惑星ロザルは、アニメ『反乱者たち』の主要舞台でエズラ・ブリッジャーの故郷。今回、初の実写化となった。また、総督のライダー・アザディ、ロザル出身の反乱者ジャイ・ケル、可愛らしいクリーチャーのロズ・キャットも同作から実写化した!

スペクター

サビーヌ・レンを追いかける新共和国の警備兵は、スペクター21というコールサインを使っている。「スペクター」は、『反乱者たち』の主人公一行が使っていたコールサインで、彼らはスペクターズとも呼ばれていた。その活躍に敬意を表し、ロザルの新共和国の兵士が使うコールサインになっているようだ。

Eウィング


新共和国のエスコート・ファイター、Eウィングが実写化。旧設定群(レジェンズ)の名作コミック『ダーク・エンパイア』で初登場した戦闘機だ。

ダース・モールのオマージュ



惑星ロザルに到着したシン・ハティは偵察ドロイド(プローブ・ドロイド)を放ち、その報告を受ける。この場面は惑星タトゥイーンでパドメ一行を探していたダース・モールのオマージュだ。どちらも、ナイトシスターと関係しているという共通点もある。

パーギル


『反乱者たち』最終話でエズラは、ハイパースペースを航行する巨大生命体パーギルを呼び出し、スローンと自身が乗る船を銀河の彼方へと運ばせた。これにより、スローンは行方不明になり、惑星ロザルに平和が訪れた。クレジット映像では、そのパーギルが描写されている。二人が、パーギルによって別の銀河へと連れ去られたことは確定のようだ。

レイに捧げる

クレジット映像の前には、「我々の友レイに捧げる」との一文が。ベイラン・スコールを演じたレイ・スティーブンソンは、配信直前の5月に急逝し、本作は遺作となった。



        パート1「師と弟子」
        パート2「苦悩と苦難」
        パート3(8月30日配信)
        パート4(9月6日配信)
        パート5(9月13日配信)
        パート6(9月20日配信)
        パート7(9月27日配信)
        パート8(10月4日配信)

筆者:ジェイK(@StarWarsRenmei

画像は、『アソーカ』(2023年、ルーカスフィルム)より。ユーザー評価は、記事執筆時点。出典 出典

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