【レビュー・豆知識】ドラマ『アソーカ』第7話「再会と別れ」:アソーカの師としての決断【ネタバレ・あらすじ】

2023/09/28

アソーカ レビュー

t f B! P L


  • パート7「再会と別れ(Dreams and Madness)
  • 監督:ジータ・ヴァサント・パテル
  • 脚本:デイヴ・フィローニ
  • 評価:★8.2/10(IMDbユーザー評価)

あらすじ

独断専行の責任を問われ、惑星コルサントに召喚されたヘラ・シンドゥーラ将軍ハマト・ジオノ議員はヘラを激しく非難し、モン・モスマ議長も、カーソン・テヴァも、チョッパーも、れっきとした証拠を持たないヘラをかばい続けることできない。そんな窮地に現れたのはプロトコル・ドロイドのC-3POレイア・オーガナ議員の代理である彼は、防衛評議会の長であるレイアがヘラの出撃を許可したと告げる。ドロイドを見下しているハマトでも、これには反論できない。ヘラはモン議長に「最悪に備えるべき」だと進言する。

T-6シャトルの中、アソーカ・タノは、今は亡き師のアナキン・スカイウォーカーのホログラムから手ほどきを受けていた。「生きる」ことを選ばせたアナキンは、ホログラムでも彼女に生き残る術を教えていた。直後、アソーカとヒュイヤン教授は、目的地の惑星ペリディアにたどり着くが、そこには機雷原が。宇宙クジラのパーギルたちは逃げ去ってしまい、二人もデブリの中に隠れざるを得なかった。一方のスローン大提督は、モーガン・エルズベスの報告で、アソーカが、あのスカイウォーカー将軍の弟子だと知り、警戒心を強める。

旧友のエズラ・ブリッジャーに再会したサビーヌ・レンは、彼が去った後の銀河での出来事について話していた。帝国は敗れたことを知り、エズラは無邪気に帰郷を望む。心地よいはずの時間だが、気まずい出来事には二人とも触れない。宇宙空間のアソーカは居場所を探るために、フォースを通じてサビーヌに呼びかけ、二人は繋がる。同時に、スローンから命令を受けたグレート・マザーたちもアソーカの居場所を特定する。<シオンの目>から逃れるために地表へ向かうシャトル。

地表では、ノティたちの行く手を阻むように、ベイラン・スコールシン・ハティが現れた。ベイランは弟子のシンにこれからは別々の道を歩むことを告げ、「勝利にこだわるな」と警告する。シンはならず者を率いて、襲撃に向かう。地表へ降りたアソーカもベイランと対峙する。ベイランは「お前では私は倒せない」と告げるが、アソーカは勝利に拘らず、逃げおおせた。

シンらの襲撃は徒手空拳のエズラとライトセーバーを持ったサビーヌに撃退されていた。しかし、そこにナイト・トルーパーの増援が現れ、二人は追い込まれる。だが、今度はアソーカが増援に現れる。戦局が不利だと判断したスローンは撤退を命じる。取り残されたシンに、アソーカは救いの手を差し伸べるが、彼女は手を取らなかった。

スローンは今回のアソーカとの初戦に満足していた。時間を奪うことに成功し、荷の積み込みはほぼ完了した。スローンはまもなくこの地を出られる。一方、アソーカとサビーヌとエズラは再会に喜んでいた。複雑な事情はあるが、今はただ微笑み合う。エズラは「ようやく帰れそうだ」と笑う・・・

レジスタンスの勃興


ヘラはスローンの帰還という最悪の事態に備えるべきだと訴えている。しかし、ハマト・ジオノ議員は戦争の英雄であるヘラを疎ましく思い、彼女を裁こうとする。政治闘争と自分の権力を優先し、分かろうとせずに、ヘラの話を「おとぎ話」だとみなす議員にイラつくヘラ・・・。ハマトのような「現実主義者」、日和見主義者が蔓延することで、新共和国はファースト・オーダーに倒されることになる。

反乱軍は「エンドアの戦いで帝国を倒した」後、新共和国を樹立した。帝国が正式に降伏したのは「ジャクーの戦い」なのだが、新共和国は「絶対悪のパルパティーン皇帝の死」によって、戦争が終結したと喧伝しているのだろう。そして、「帝国という悪から解放された無辜の元構成員」を取り込んでいく。ハマトもそんな元構成員の一人だ。

共和国を吸収した帝国を吸収した新共和国。その病巣も、脈々と受け継がれてしまっている。官僚主義や影響力を持つ有力星系の台頭で、新共和国は機能不全に陥る。モン・モスマが引退した後、崩壊したのも当然の流れであろう。政治家としての才も持つ英雄のレイアなら立て直せたかもしれいが・・・後ろ盾のない彼女は、ヴェイダーの娘だと告発されて地位を追われた(小説『ブラッドライン』の内容)。

そして、そんな新共和国を見限り、台頭する悪に立ち向かおうとしたのが、レイアの創設したレジスタンスだ。「何を二人で企んでいるの?」とモン・モスマにも聞かれていたことだし、ヘラとレイアの協力は今後も描かれるだろう。もしかしたら、ヘラはレジスタンスの創設メンバーにも名を連ねるかもしれない。『スカイウォーカーの夜明け』のエクセゴルの戦いには、彼女の船である<ゴースト>も参戦している。

そして、どうしても気になるのはヘラの息子であるジェイセンの今後だ。ジェダイである父から力を受け継いだ彼は、ジェダイの道を歩むのだろうか。レイアとヘラの親しさを考えれば、レイアの息子のベン・ソロとジェイセンは知り合いの可能性が高そうだが・・・

二人の“ジェダイ”の師匠が優先するもの


アナキンのホログラムから手ほどきを受けるアソーカ。「生きる」ことを選ばせたアナキンは、ホログラムでも彼女に「生きる術」を伝授していた。ヴェイダーの闇を自分も受け継いでいるかもしれないと悩んでいたアソーカだが、最後の訓練で「遺産を受け継いでも生きていればそれ以上になれる」と教えを受けたことで、その心情も変化していた。彼女は誇らしげに「アナキンは良いマスターだった」と語る

師弟関係の大切さを再認識したアソーカは、サビーヌの居場所を探るために彼女との接続を試みる。ルークとレイア、カイロとレイ、レイとフィンのように、二人はフォースの絆で繋がる。サビーヌは訓練時代を思い出したのか、アソーカを「懐かしい」と語る。反目が目立った二人だが、心の奥底では通じ合っていた。(余談だが、この描写はフォース感応者でなくとも人と繋がれると示しており、必ずしもフィンが「生まれながらのエリート」であるフォース感応者とは限らないと提示した)

もう一人の師匠ベイランは、シンに別れを告げた。「野心によってお前は、私とは違う一つの方向に進んでいる」と、彼女に帝国で地位を築くようにアドバイスした。そして、最後に「勝利への焦りは敗北に繋がる」と告げる。シンは、見習いの証である三つ編みを残したまま、訓練の途中で独り放り出される結果となった。ベイランは弟子よりも、自らの大義を優先した。

地表へ降り立ったアソーカは、偶然にもベイランと遭遇する。弟子の元へ向かおうとするアソーカと、弟子の元から去るベイランの対比的な構図。アソーカはベイランに勝てないことを自覚しているが、ニヤリと「勝つ必要はない」と告げる。ヒュイヤンがシャトルからフレアを発射したことで、アソーカは逃げおおせた。アナキンの「生きる術」を活かし、皮肉にもベイランの「勝利を焦るな」という教訓を実践することになった。

間一髪で、エズラとサビーヌを助けたアソーカ。独りとなったシンにも手を差し伸べるが、彼女は手を取らず、孤独を選ぶ。そして、再会の時。アソーカはサビーヌの裏切りを知り悩んでいたが、実際に会ってみると浮かんできたのは喜びだった。サビーヌとエズラが「生きていた」こと。それが何よりも嬉しく、互いに笑いあう。いつの間にか、アソーカの心情は変わっていた。アナキンが弟子であるアソーカに生きていてほしかったのと同様に、アソーカも弟子であるサビーヌに、そしてエズラに生きていてほしかったのだ。だから、アソーカはスローンを倒すという「大義」よりも、二人の「生命」を優先した。地図を渡したときのサビーヌと同じように。「大義」のために、弟子と別れたベイランとは違い、アソーカは本当に大切なものに気付きつつある。

ジェダイの英雄だったエズラ


ロザルを解放したジェダイの英雄、エズラ・ブリッジャー。アソーカやベイランが「大義」のために戦い、サビーヌが苦悩する中、蚊帳の外のエズラは一つの思いに突き動かされていた。「故郷に帰りたい」。その純粋な思いだけを持ち、サビーヌが抱えている厄介ごとを問い詰めることはしない。ライトセーバーをサビーヌに渡されそうになっても、エズラはそれを断る。「君にあげたんだ。僕にはフォースがある」。その言葉通り、ある程度はフォースで善戦するものの、シンには吹っ飛ばされ、苦し紛れの話し合いを提案し、挙句の果てにはブラスターに頼っていた。今のエズラは、無敵の「ジェダイの英雄」ではない。

どちらかというと、望郷の思いに駆られる一人の心優しい勇敢な青年。『反乱者たち』初期のエズラがそのまま成長したような姿だ。『反乱者たち』の終盤では、戦火の中という時代の要請を受け、ジェダイとしての道を突き進んでいった。多くの痛みと犠牲を払った。だが、十年の休息は彼を「ただのエズラ・ブリッジャー」に戻した。

十年間の間に特別な技を覚えたわけでもない。十年ぶりに無敵の力を披露するわけでもない。しかし、十年間で居場所を見つけ、フォースと共に生きて、平穏な日々を送ってきた。英雄も望郷に駆られ、普通の生活を送る一人の人間なのだと示した。観客が期待したような無敵の英雄はいないというテーマは『最後のジェダイ』のルークにも通底し、英雄とおとぎ話について別の視点からの回答を試みている。平穏に暮らし、故郷に帰りたいと願っていただけのエズラが再び戦火に巻き込まれようとしているのは、心苦しい悲劇である・・・

最終回へ:ベイランとスローンの計画


シンと別れたベイランだが、彼の「大義」の詳細は未だに謎に包まれている。「戦争が繰り返される循環」を終わらせるつもりのようだが、具体的にはどのような力を手に入れるのだろうか。「はざまの世界」を通じて時空を支配するのか、別銀河の強大な軍事力を手に入れるのか。私は「そんな力はない」という考察をしたが・・・?『アソーカ』はシーズン2も想定されているので、今シーズンで全てが明かされることはないかもしれない。演じたレイ・スティーブンソンはお亡くなりになったが、リキャストなどでベイランというキャラが生き続ける可能性はある。

そして、銀河へと帰還しようとするスローン大提督の計画もいよいよ大詰め。墓場から何かを運び出していたが、その中身とは・・・?ナイト・トルーパーは死体ではなかったようだが、この荷物こそが「死者の軍団」かもしれない。そして、グレート・マザーたちとの取引の詳細は?

スローンは今回「時間稼ぎ」に満足していたが、この描写で彼が有能に見えるだろうか?目立った成果がまだ無い中で、新規ファンがどのような印象を抱いているのかはやや不安だ。時間稼ぎを優先して、アソーカ、サビーヌ、エズラ、ベイランを放置した結果、彼らに計画を邪魔される結果になったらお笑い種なのだが・・・。この四人の内誰かを、ペリディアに置き去りにすることが出来れば、スローンの時間稼ぎの必要性が改めて示されるかもしれない。最終回に期待だ!

豆知識

タイトル

原題は「Dreams and Madness」だが、邦題は「再会と別れ」だ。邦題も悪くはないのだが、原題のニュアンスが失われていることが引っかかる。原題は直訳すると「夢と狂気」だが、「狂気」という言葉が自主規制で使えないのかもしれない。ちなみに、ベイランの第六話の台詞「This is a land of dreams and madness.」からのタイトルだったのだが・・・

C-3PO


レイア・オーガナの代理として、おなじみのC-3POが登場した!演じたのは、オリジナル三部作から3POを演じてきたアンソニー・ダニエルズ!

元老院のシンボル

裁判のシーンにて、モン・モスマの背景にあるのは、銀河元老院のシンボル。旧共和国時代から変わっていないようだ。

ホログラム


アソーカは、アナキンが20個に及ぶ訓練のホログラムを残してくれたと語った。『反乱者たち』では、エズラがアナキンのホログラムから学んでおり、そのホログラムはこの20個のうちの一つだったのかもしれない。

アサージ・ヴェントレス

クローン大戦でアソーカに立ちはだかる敵として、グリーヴァス将軍、ドゥークー伯爵と共に。アサージ・ヴェントレスの名前が列挙されていた。ヴェントレスは、ダソミアの魔女ナイトシスター種族の出身だった元ジェダイ。闇堕ちしてドゥークー伯爵の弟子になった後、多くのジェダイを殺した。

スカイウォーカー将軍

スローン大提督は、アソーカの師匠がアナキン・スカイウォーカーだと知って警戒した。実は、スローンの生みの親であるザーンの正史小説『Thrawn: Alliances』にて、二人はクローン大戦中に知り合っている。スローンはアナキンの優秀さを知っており、だからこそアソーカの行動を予想し、警戒した。

「みんなそう言ってる」

「皇帝は死んだのか?」とエズラに問われた時に、サビーヌは「みんなそう言ってる」と返す。これは、『スカイウォーカーの夜明け』で本当はパルパティーンが死んでいなかったと明らかになることを暗示した台詞だ。

パチンコ

平和的なノティ種族は武器として、パチンコ(スリングショット)しか持たない。『反乱者たち』では、エズラがパチンコを武器としており、おそらくノティにこの武器を伝えたのはエズラであろう。

『EP5/帝国の逆襲』のオマージュ

デブリの中に逃げ込む、巨大生物の口の中に居るという要素は、『EP5/帝国の逆襲』のオマージュだ。「敵が引いたのはここが危険だからだ」という台詞は、レイアのものとほぼ同じだ。

The Force is my ally

「強力な味方のフォースがある」と言って、エズラはライトセーバーやブラスターが必要ないと答える。フォースが「強力な味方(ally)」であるというのは、『EP5/帝国の逆襲』でヨーダが語っていた教えと同じだ。

狼に乗るアソーカ


いつオオカミにまたがるのかと注目されていたアソーカが、とうとうその背中に乗った!フィローニはオオカミが大好きであり、しばしばオオカミに乗るアソーカのイラストを投稿していた。また、アソーカは、『もののけ姫』のサンというオオカミにまたがるキャラに影響を受けている。



        パート7「再会と別れ」
        パート8(10月4日配信)


筆者:ジェイK(@StarWarsRenmei

画像は、『アソーカ』(2023年、ルーカスフィルム)より。ユーザー評価は、記事執筆時点。出典 出典

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