- 第1話「道(A Way Forward)」
- 第2話「友(Friends)」
- 第3話「戦士から戦士へ(One Warrior to Another)」
あらすじ
クインラン・ヴォスは、オビ=ワン・ケノービとともに惑星ダソミアを訪れていた。その目的は、自分を助けて死んだ恋人のアサージ・ヴェントレスの遺体を葬るため。しかし、マザー・タルジンの呼びかけにより、ヴェントレスは「心から望むもの」を代償に蘇った。その後、アサージは辺境の宇宙港にてコートの下で退屈だが平穏な生活を送っていた。だが、若き逃亡ジェダイのライコ・ストラタが現れたことで事態は一変する。思わず彼をかばってしまったアサージはストームトルーパーや彼を追ってきた尋問官をライコとともに倒して逃亡者となる。
ライコが探し、元恋人のクインランが造ったと噂される「道」の情報を求めて、アサージは旧知の賞金稼ぎラッツ・ラジィとC-21ハイシンガーを訪れる。そして、情報を得る対価として、二人は惑星カサーロからスターデストロイヤーのシールドリレー装置を盗み出す手伝いをすることになった。一行は帝国の施設に侵入し帝国軍と一戦交えるが、あと一歩のところで失敗。そしてライコがジェダイだと気づいたラッツからも狙われるが、これをなんとか撃退し情報を得る。
二人は「道」と合流すべく辺境の惑星のサイファー渓谷へ向かっていた。途中立ち寄った家では、アサージが元分離主義者であることから、クローン大戦でともに戦った老人から水を分けてもらうことができた。そして、戦士から戦士の頼みを受けて二人は泉に水を汲みに行く孫娘の護衛を引き受ける。泉では水汲みを邪魔するレイダースが現れ戦闘へと突入する。激しい戦いが繰り広げられるが、ライコは彼らが泉を守りたいだけだと気づき、レイダーとの話し合いを持った。老人は頑なに戦い続けようとしたが、アサージの説得により話し合いの重要さに気づく。その後、二人はレイダーの案内で無事に「道」の船を見つけた。アサージはこれは「善きジェダイの道だ」と語り、ライコと別れることを決める。だが、ライコはアサージの元に舞い戻ってきた。二人は今では友達なのだ。
海外の反応
「第1話で死んだけど、新しい尋問官はすごかった。ヴェントレス相手になかなかの戦いぶりだった!」
「クインランがヴェントレスへ「ずっと愛している」と言ったのがいいね。ヘラとのケイナンを思い出させる。アナキンみたいにならずに、ジェダイには大切な人を愛する健全な方法がある」
「『クローン・ウォーズ』のスタイルのストームトルーパーのモデルは完璧だ。早く『モール:シャドウ・ロード』で見たい」
「第2話で帝国の基地にいた技術者たちが着ていた制服には、腕にタンティスのクローンのロゴがあった。再利用しているということか?」
「もっとヴェントレスの物語が必要だ!」
レビュー
『バッド・バッチ』シーズン3第9話で死から復活したアサージ・ヴェントレス。その復活~『バッド・バッチ』の登場までの空白の帰還が描かれた。おさらいしておくと、アニメ『クローン・ウォーズ』にて
アサージはクインランと恋仲になり、彼を救って死亡するという展開が用意されていたが、それは未完成エピソードとなり小説『Dark Disciple』でその出来事が描かれた。今回の第一話はその小説の直後から始まるとなる。
彼女が死から復活した理由が今回描かれた。クインランからの愛とアサージが払った代償が復活の要因であるようだ(吹替版だとアサージが代償を払っていないようなニュアンスになっており誤訳だ)。アサージが払った代償の「彼女が心から望むもの」が何であったかは最後まで明言されなかったが、クインランとの関係性のことを指しているのは間違いない。彼女は明らかにクインランに会うことを躊躇している。会ってしまうと関係性を代償として支払えなくなり、生きることができなくなるのかもしれない。なんと悲劇的なカップルだろうか・・・。
死からの復活というのは禁じ手であはあるが、
執着を手放せば人を生き長らえさせられるというテーマは近年一貫しているように思える。『スカイウォーカーの夜明け』ではベン・ソロが自らを犠牲にレイを救った。
『アソーカ』でサビーヌは、自らが残ることを代償に「黄泉の国」からエズラを救い出した。彼らの行動は、アナキンが手放したくないからとパドメを救おうとしたこととは異なる。今回のアサージも、ベンやサビーヌと同様に執着がないからこそ生き返ることができたのではないか。
今回の3話はアサージが生まれ変わった後の物語だったが、彼女に過去を捨てさせたわけではないことも高評価である。『クローン・ウォーズ』でジェダイを殺した過去があるからこそ彼女は、ジェダイのライコに気が引けていた。そして、賞金稼ぎのような人間とつながりがあるからこそ友人を持てるとは思えなかった。だが、善を信じ歩み寄ろうとするライコの姿勢を見て彼女自身も変わっていく。共和国やジェダイも、分離主義者の自分たちもどちらも間違っていたと感じ、今なら対立の構造を超えられると信じられるようになる。翻訳ではニュアンスが消えていたが、「ライコはジェダイだった(He was a Jedi)」「今やライコは私の友達だ(He is my friend)」というセリフは過去を受け入れ、今との違いを理解していることが強調される。
個人的には第3話の舞台設定がなかなか気に入っていた。水のない惑星に「レイダー」に、襲われて車いす生活の老人、と明らかにタトゥイーンが意識されていた。長年スター・ウォーズではタスケン・レイダーは悪として描かれていたが、『マンダロリアン』シーズン2の第1話では住民とタスケン・レイダーがともに助け合う描写が登場し、両者の関係性は前進していた。その文脈があるからこそ、今回の展開も納得できるものになっている。
ライコ・ストラタはなかなか良い味を出している。未熟なジェダイとしてアサージの足を引っ張りつつも、彼女をからかってうまく絡んでくっついており、憎めない。二人のコンビはこれからどこへ向かうのだろうか・・・(少なくともこの後にアサージはバッド・バッチたちと出会っているが)。今後の展開を期待したいところだが、『テイルズ・オブ・エンパイア』のバリス編すらいまだうまく拾われておらず、今回の話も直近で拾われる可能性は低いかもしれない。少なくとも、「道(パス)」の物語は『ジェダイ:サバイバー』の続編でさらに描かれるはずで、今はまだ触れにくいという裏事情もありそうだ。ただ、
同郷であるモールが主人公の『モール:シャドウ・ロード』に登場する可能性はありそうだ。
モールも新たな弟子(タロン?)を迎えるようで、アサージ&ライコの二人と対比されるかもしれない。今はあまり期待しすぎに、気長に待つことにしておこう。
豆知識
プローブ・ドロイド
アサージが隠れていた宇宙港を捜索する帝国軍は、『EP5/帝国の逆襲』にも登場したプローブ・ドロイドを持ち出してきている。本作に登場したのは、『EP5/帝国の逆襲』と同じ機種であるヴァイパー・プローブ・ドロイドであるようだ。
クレイツ・クロー
ヴェントレスとラッツ・ラジィ、C-21ハイシンガーは知り合いだが、これはかつて賞金稼ぎのチーム「クレイツ・クロー」でともに働いていたため。『クローン・ウォーズ』S4-20「その手に掴むもの 」で初登場したこのチームは、若きボバ・フェットによって率いられていた部隊。
ヴェネター級と「新型の船」
ライコはヴェネター級スターデストロイヤーに詳しいが、ラッツ・ラジィは「新型の船」のシールドリレー装置を盗もうとしている。この「新型の船」は、インペリアル級スター・デストロイヤーのこと。その特徴的なシールドジェネレーターや機影が劇中で確認できる。
分離主義者のシンボル
第3話の老人の家にかかっていたメダルに描かれていたシンボルは、独立星系連合のシンボル。どうやら彼は勲章を受け取るほどの活躍をしていたようだ。
画像は、スター・ウォーズ シリーズ(1977-2024、ルーカスフィルム)より。ユーザー評価は、記事執筆時点。
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