【レビュー・豆知識】『マンダロリアン』シーズン3第四話「孤児」【あらすじ・ネタバレ】

2023/03/24

マンダロリアン レビュー

t f B! P L

  • 第四話「孤児(The Foundling)」
  • 監督:カール・ウェザース
  • 脚本:ジョン・ファヴロー、デイヴ・フィローニ
  • 評価: ★8.1/10(IMDbユーザー評価)

あらすじ


チルドレン・オブ・ザ・ウォッチ」の隠れ家へと戻ってきたディン・ジャリン。彼が見つけた孤児(ファウンドリング)のグローグー、そして泉に浸かったことで仲間だと認められたボ=カターン・クライズも一緒だ。洞窟の外では、マンダロリアンが自己研鑽に励んでいた。ディンは、グローグーを弟子(アプレンティス)へと成長させるために、最近ヘルメットを被ったラグナー少年と決闘をさせる。始めは力を見せることをためらっていたグローグだったが、発破をかけられて、ルークから習った技で勝利を収める。意気消沈のラグナー。すると突然、そこに巨大な鳥が表れ、彼を攫う。ボ=カターンはその鳥の巣を発見し、経験も買われて、救出部隊の隊長になる。一行は、船に乗り込み、急いで出発する。

まだ幼いために洞窟に残ったグローグーは、アーマラーにより、マンダロリアンの教義の中心にある鍛冶場へと案内された。そこで彼は、最大の恐怖を思い出す。約30年前、オーダー66が発令され、ジェダイ聖堂に居たグローグーも命を狙われた。彼を逃がそうとする大勢のジェダイが亡くなったが、ジェダイ・マスターのカレラン・ベクの手でナブーの宇宙船に乗って命からがら逃げることが出来たのだ。当時のグローグーは、ジェダイの一員だった。だが、アーマラーはマンダロリアンのアーマーの一部を彼に贈り、マンダロリアンになる道をさらに推し進めた。

一方、救出部隊に参加したディン、ボ=カターン、パズ・ヴィズラは一晩を共に過ごす。パズは、ボ=カターンを救出部隊のリーダーだと認め、火の傍で食事を食べる名誉を与えた。翌日、一行は山頂の巣へと昇っていく。慎重を期す必要がある行動だったが、パズは独断専行してしまう。攫われたラグナー少年は、彼の息子だったのだ。しかし、雛鳥の騒ぎを聞きつけ、親鳥が戻ってきてしまう。一行は戦闘へと突入し、ボ=カターンやディンの獅子奮迅の活躍で、なんとか少年を取り戻す。親鳥は、さらに巨大なクリーチャーへと飲み込まれた。

戦いの末、救出部隊は少年を取り戻すだけでなく、さらなる孤児を見つけた。巨大な鳥の雛だ。ボ=カターンは失ったポールドロンの代わりをアーマラーに作ってもらう。彼女は、ミソソーの紋章を望んだ。そして、ミソソーを目撃したことを打ち明けるが、アーマラーはそれを幻だと頑なに否定した。

英雄のジェダイとなった「ジャー・ジャー」


ここまで秘密にされてきたグローグーを救ったジェダイがとうとう明らかにされた。その人物とは、カレラン・ベク。多くのファンは名前だけだとピンと来ないだろが、演じた俳優は馴染み深いはずだ。彼の名は、アーメド・ベスト。「スター・ウォーズで最も嫌われたキャラクター」ジャー・ジャー・ビンクスを演じた俳優だ。

『EP1/ファントム・メナス』公開当時、ジャー・ジャーの嫌われ方は尋常ではなかった。ジャー・ジャーのみならず、演じたアーメドの人格までもが攻撃され、彼は自殺を考えるほど追い詰められた。そのアーメド演じるキャラが、グローグーを救出した英雄のジェダイとして登場した。ようやく、アーメドがスター・ウォーズファンからの称賛を手に入れた。遅すぎる称賛であり、これで過去の問題がなかったことにはならないが、「世界一有害なファンダム」が変化の姿勢を見せることになったのは好ましい。

実は、このジェダイ・マスターのカレラン・ベクは、YouTube上の子供向け番組『Star Wars Jedi Temple Challenge』に既に登場していたキャラだ。あくまでも正史かどうかわからない立ち位置の作品であったが、この番組からキャラを流用することには大きな意味がある。全てのスター・ウォーズ作品が繋がっていることが示され、この番組を見ていた子供もさらに作品に熱中できる。スター・ウォーズに、世代を超えたまとまりをもたらす演出だ。

コルサントでの501軍団との戦闘や、ガンシップとVウィングからの逃亡は、まさにファンが見てみたい映像で、興奮した。ナブーがジェダイに協力していたという事実も、ますますジャー・ジャー役のアーメド・ベストがグローグーを救出するにふさわしいキャラだと感じる。さすが、ファン心理を抑えているフィローニの脚本だ。

だが、個人的にはもう一歩踏み込んだ描写が欲しかった。メタ的な面白みや意味を重視しすぎて、単なるファンサービスにとどまっているように感じた。グローグーの過去を隠し続けたのだから、そこにはストーリー上の仕掛けがほしかった。また、彼が独りぼっちになった過程も明らかになっていない。今後も過去がさらに描写されるチャンスがあると考えると、それは望みすぎかもしれないが。

グローグーの進む道


アーマラーに連れられて鍛冶場にやってきたグローグー。そこで彼は、オーダー66で家と家族を失った過去を振り返った。この描写は、シーズン1のディン・ジャリンと完全に重なる。鍛冶場で、ディンもグローグーも自分が戦争によって孤児になったことを意識する。そして、二人ともがアーマーの一部を受け取り、マンダロリアンとしての道をさらに進むことになる

グローグーはフォース感応者であり、元ジェダイだ。『ボバ・フェット』では、ルークの下でジェダイとしての修業を積んでいた。しかし、最終的に彼はディン・ジャリンと共に歩むことを決めた。ディンはマンダロリアンであり、彼もマンダロリアンとなるのは当然のようにも思える。

だが、果たしてそうなのか。グローグーは、ジェダイかディンかの選択を迫られて、ディンを選んだ。マンダロリアンを選んだわけではなく、ディンがマンダロリアンとしての道に拘っているから、グローグーもそうなろうとしているだけだ。そして、この「道」は、伝統に拘泥するカルトじみた思想だ。「新たな時代を告げる」ミソソーが登場したことで、伝統は変わろうとしている。私には、このままグローグーがマンダロリアンになるとは思えない。ジェダイでもない、マンダロリアンでもない、「新たな道」が彼の前に広がっているのではないだろうか。

巨大な鳥


カレラン・ベクに話題をかっさらわれているが、メインのプロットは、巨大な鳥に攫われたマンダロリアンの少年を救うというものだった。映像は置いておいて、このプロットは・・・正直面白くなかった。「どこかで見たありきたりな物語」だ。だが、デイヴ・フィローニは、しばしばこういうオマージュを好んで行う。フィローニの作品だからと期待しすぎると、たまにこういう肩透かしを食らう。

しかし、巨大な鳥を登場させたのにはもちろん意味があるだろう。今回、マンダロリアンは、新たな「孤児」である雛鳥を手に入れた。ここから予想される展開は、マンダロリアンが巨大な鳥にまたがり、戦うというものだ。レジェンズ(旧設定)時代から、マンダロリアンは空を飛ぶドロイドにまたがり戦っていた。また、今回マンダロアの鳥類「シュリークホーク」の名前が付けられた練兵隊も登場した。今後、巨大な鳥にまたがるマンダロリアンというド派手な画が見られることは間違いない。楽しみだ。

豆知識

アーメド・ベスト演じるカレラン・ベク


本文でも述べたが、グローグーを救出するジェダイ・マスターのカレラン・ベクを演じたのは、プリクエル三部作でジャー・ジャー・ビンクスを演じたアーメド・ベスト。そしてカレラン・ベクは、YouTube上の子供向け番組『Star Wars: Jedi Temple Challenge』のキャラクターだ。

501軍団とオーダー66

フラッシュバックのシーンでは、オーダー66に伴い、ジェダイ聖堂を襲撃する501軍団が描かれた。501軍団は、『クローン・ウォーズ』や『EP3/シスの復讐』で、アナキン配下の部隊として登場。もともとは、コスプレを楽しむファンクラブの名称だったが、設定に逆輸入された。そして、今回ジャンゴやボバ、クローン・トルーパーを演じ続けてきたテムエラ・モリソンがその声を担当した。

共和国軍のビークル


プリクエル三部作に登場した数々の共和国軍のビークルが再登場!BARCスピーダーや低空強襲トランスポート(ガンシップ)、アルファ3ニンバス級Vウイング・スターファイター(Vウィング)など。

ナブーのHタイプ・ヌビアン・ヨット

カレラン・ベクとグローグーがコルサント脱出のために乗り込んだ船は、『EP2/クローンの攻撃』にてパドメ・アミダラとアナキン・スカイウォーカーが使用したHタイプ・ヌビアン・ヨット。惑星ナブーに属する船であり、ナブーの親衛隊が船を守っていた。

Bigger fish


マンダロリアンを手こずらせた巨大鳥だが、最後は一話にも登場したさらに巨大な魚(?)に食べられてしまった。このシーンは、『EP1/ファントム・メナス』のオマージュだろう。EP1にて潜水艦で巨大な魚に襲われたクワイ=ガン一行は、その巨大魚が、より大きな魚に食べられて事なきを得る。クワイ=ガンは「There’s always a bigger fish.(上には上がいる)」との言葉を残す。


筆者:ジェイK(@StarWarsRenmei

画像は、『マンダロリアン』シーズン3(2023年、ルーカスフィルム)より。ユーザー評価は、記事執筆時点。出典 出典

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ジェイK
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