資料から読み解く、ジョージ・ルーカスのエピソード7案②:ウィルズとの共生、フォースのバランス

2023/02/19

映画 論考&解説

t f B! P L

前回の記事では、ジョージ・ルーカスによる「エピソード7」の制作の過程についてまとめた。今回から、いよいよルーカスが構想していていたエピソード7&シークエル三部作(EP7、EP8、EP9)の内容について読み解いていく。ただし、注意が必要だが、ルーカスのアイデアはたびたび変更されており、ここで述べられていることが最終的なアイデアだったとは限らない[ソース

2018年、ジョージ・ルーカスは、ジェームズ・キャメロンとの対談で、自身のシークエル三部作で取り扱うつもりだったテーマについてこう語っている[1]。

「(シークエル三部作は)マイクロバイオームの世界に入り込もうとしていた。そこには我々とは異なる動きをする生き物の世界がある。私は彼らをウィルズと呼んでいる」

今までにない全く新しい「マイクロバイオーム(ミクロな生態系)の世界」と「ウィルズ」の設定は、ジョージ・ルーカスのエピソード7案の根幹をなす。その詳細な内容と、設定が導入された意図をルーカスの発言から読み解いていこう。

今回の要旨

ルーカスは、自身のエピソード7(およびシークエル三部作)で、「共生」について描こうとしていた。そのための新たな概念が、ミクロな生命体のウィルズである。ウィルズは、今までのスター・ウォーズにおいて、「フォースの意志」とされてきたものだ。ウィルズの属するミクロな生態系と、我々の属するマクロな生態系は、共生関係にある。

加えて、スター・ウォーズにおいては、「共生」こそが究極の目標である。同時に生きる人々と共生することで、反乱同盟軍は勝利をつかみ、過去に生きた人々と共生することで、ジェダイは霊体化の術を学ぶことが出来る。生態系のみならず、社会にも共生関係がある。

ウィルズは生きるために「フォースのバランス」を必要とし、ウィルズとの共生を必要とするマクロな生命体の人間も、間接的にバランスを必要とする。つまり、フォースのバランスとは、「ウィルズとの共生」である。共生とバランスは類義語だ。繰り返しになるが、ルーカスがウィルズという設定を導入してまで描きたかったスター・ウォーズの本質とは、「共生」である。

今までのスター・ウォーズにおけるウィルズ

ルーカスがエピソード7で掘り下げようとしていた「ウィルズ(ホイルス、Whills)」。ライトなファンには聞き馴染みのない単語だろうが、実は最初からスター・ウォーズの根幹をなす設定だった。

端的に言うと、スター・ウォーズという物語は、歴史書「ウィルズ銀河史(The Journal of Whills)」に収録された物語なのだ。ルーカスによると、R2-D2が、EP6の約100年後に、スター・ウォーズ映画の出来事を「ウィルズの番人(Keeper of the Whills)」へと語り、それが「銀河史」に記載されることで、冒険は歴史へとなった(ソース本

ルーカスのスター・ウォーズ草稿「Journal of Whills」

当初のルーカスは、このウィルズをスター・ウォーズ世界と現実世界の橋渡し的存在にするつもりであった(ソース本)。実際に、『EP4/新たなる希望』の小説版および『フォースの覚醒』の小説版では、序文にウィルズ銀河史からの引用文が記されている。彼は、初期の構想についてこう語っており、これは、次の項で述べる彼のエピソード7案にも繋がっている(同上)。

「元々、私はこの物語を誰か(=ウィルズ)に語らせようとしていた。この物語の全体を見て、それを記録している誰か、実際に出来事に関わったプレイヤーよりも賢いであろう誰かがいたのだ。結局、このアイデアはやめ、ウィルズのコンセプトはフォースになった。しかし、ウィルズは私が脚本に使用した膨大な量のメモ、引用、背景情報の一部となり、ストーリーは実際にウィルズ銀河史から引用された」

また、クワイ=ガン・ジンは、とある「ウィルズのシャーマン」から霊体化を学んだと『EP3/シスの復讐』の削除シーンで言及されている。ただし、ウィルズ銀河史を執筆したのは、「ウィルズの番人」であるため、シャーマンと執筆者は別人であろう。

ウィルズという言葉は、たびたび重要単語として登場してきたが、初期のコンセプト以外で登場したのは、「ウィルズのシャーマン」や「ウィルズの番人」などで、ウィルズ自体ではない。今までウィルズとは、フォースの言い換えにすぎないと思われていた。だが、ルーカスはさらに複雑な物語をエピソード7で語ろうとしていた。

ウィルズとは「フォースの意志」

文頭にも載せたジェームズ・キャメロンとの対談で、ルーカスは、ウィルズについて詳しく語っている[1]。

「(シークエル三部作は)マイクロバイオームの世界に入り込もうとしていた。そこには我々とは異なる動きをする生き物の世界がある。私は彼らを<ウィルズ>と呼んでいる。そしてウィルズこそ、実際に宇宙を支配している存在だ。彼らはフォースを糧にしている

昔から、私は言っていた。私たちはウィルズが移動するための車、乗り物に過ぎないと。私たちは彼らの器なのだ。ミディ=クロリアンは、パイブ役だ。ミディ=クロリアンは、ウィルズと交信する。つまり、ウィルズこそフォースなんだ」

ルーカスのエピソード7案において、ウィルズはただのフォースの言い換えではなく、我々の体にも存在するマイクロバイオーム(ミクロな生態系)に属する生き物だった。そして、ウィルズとはフォースを糧にし、「実際に銀河を支配している存在」だ。つまり、マクロな生命体である我々にとっての「フォースそのもの」であり、「フォースの意志」だと信じていたものだった。

例えば、クワイ=ガンは『EP1/ファントム・メナス』にて、「ミディ=クロリアンは<フォースの意志>を教えてくれる」と語っていた。しかし、「ミディ=クロリアンはウィルズとのパイプ役」であるというルーカスの発言を踏まえると、ここは「<ウィルズの意志>を教えてくれる」とするのが正確だ。ウィルズ(Whills)という名前も、意志(will)という単語に由来しているのだろう。実際に、監修が入ったことで、日本語の読みもホイルスからウィルズへと変更されている。

さらに、ルーカスは、我々は「ウィルズが移動するための車、乗り物に過ぎない」と説く。「利己的遺伝子論」に影響を受けたであろうこの設定は、銀河の主役がウィルズであることを意識させる(そうなると、「The Journal of Whills」は、ウィルズ銀河史ではなく、「ウィルズ航海日誌」と訳す方が正しいかもしれない)。

銀河を「フォース」ではなく、「フォースを糧にするミクロな生き物」が支配していたという設定は、今までのスター・ウォーズを根幹から覆す。ジェダイが神の啓示のように信じていた「フォースの意志」も、所詮はウィルズというただの生き物の思考で、ウィルズこそが真の主人公だったのだ。だが、この奇抜な設定も、ルーカスが伝えようとする本質のための舞台装置に過ぎない。

生態系での共生 

ルーカスがウィルズという設定を導入してまで語りたかったことは何なのか。再び、彼の発言を引用しよう[1]。

「『ファントム・メナス』で、ミディ=クロリアンについて話し始めると、みんなが嫌がった。あの映画では、私たちはボスではないと知らしめるために、共生関係という側面を描いた。ここには生態系があるのだ。(シークエル三部作では)マイクロバイオームの世界に入り込もうとしていた。

中略

(もし私がエピソード7を完成させても)多くのファンは『ファントム・メナス』等と同様に、それを嫌っただろう。だが、少なくとも、最初から最後までのストーリーが明らかになった」

このウィルズのアイデアは、『EP1/ファントム・メナス』のミディ=クロリアンの設定で提示された「共生関係」という設定と密接に関係していることが発言から分かる。おさらいしておくと、ミディ=クロリアンとは、我々マクロな生命体の細胞で共生している生命体だ。現実のミトコンドリアをスター・ウォーズ風に再解釈したものである。科学的なこの設定は、公開当時激しい非難にさらされていた。

「フォースの本質」に近づいたクワイ=ガン

さらにルーカスは、ウィルズ、ミディ=クロリアン、人間との関係についても詳しく語っている[2]。

「人間の細胞の中に入ることができるミクロな存在は、細胞の中で生まれてくるミディ=クロリアンだけだ。ミディ=クロリアンは、人間の細胞が分裂し、生命を生み出すためのエネルギーを供給している。ウィルズはフォースを餌とする単細胞動物だ。フォースが多ければ多いほど、彼らにとっては有利である。そのため、ミディ=クロリアンとは非常に濃密な共生関係にある。ミディ=クロリアンは、事実上ウィルズのために働いている

私たちの体内には100兆個の微生物がいると言われているが、私たちは約90%のバクテリアと10%の人間の細胞でできている。では、誰が誰に仕えているのだろうか?

中略

生命を生み出し、フォースを生み出すために大きな共生関係があると言っているが、宇宙に存在するすべての生命体を見ると、そのほとんどは単細胞生物だ。私は、単細胞生物は宇宙を旅することができる先進的な生命体だと考えている。なぜなら、単細胞生物は、たまに降ってくる隕石に乗って、宇宙を旅することが出来る。何千年もその上で生活し、凍ったり凍らなかったり、ほとんどどんな状況でも生き延びることができる」

ここでも、再び「共生」という言葉が登場している。この発言によると、ウィルズはフォースを糧として必要としており、そのフォースというエネルギーを供給しているのは、ミディ=クロリアンだ。我々人間の体の90%は、ミディ=クロリアンのような微生物によって成り立っている。加えて、「私たちはウィルズが移動するための車、乗り物、器」だ(前項参照)。つまり、ウィルズ、ミディ=クロリアン、人間の三者は、共生関係にあるのだ

そして、「生命を生み出し、フォースを生み出すために大きな共生関係がある」。つまり、ルーカスは、ウィルズという設定を導入することで、生命体の大きさを問わず、銀河の生態系が共生関係で成り立っていることを示したかったのだ。支配者のようにおごり高ぶっている人間も、共生関係の中で生かされているに過ぎない。これは、『EP1/ファントム・メナス』のメッセージと地続きだ。

社会での共生

前項では、生態系の共生について述べた。一方で、ルーカスにとっての「共生」は、さらに広い意味を持つ[3]。

「神話を語るときは、いつも円を描いて旅をする。曼荼羅のように、小さな円があり、さらに大きな円があり、最終的には宇宙を包含することになる。物語を語るのも同じで、すべての人、関係、共生関係のグループは、常に円を描いて旅をしているんだ。それは、始まりの場所に戻るか、他の円と交わるかのどちらかになる。最後は、すべてが繋がっているからこそ、生き残ることができる

エピソード1、2、3では、すべての共生関係が引き裂かれている。『EP1/ファントム・メナス』では、元老院議員たちはお互いを助けることよりも自分たちのことに関心がある。彼らは、共生の輪から外れてしまった。彼らの利害が乖離してしまったために、共和国として何も合意できない。そして、議長は、自分が作り出したこの分裂を利用して皇帝になる。エピソード4、5、6では、反乱軍が旧共和国から独自の共生関係を形成し、帝国と戦う。彼らはバランスを取り戻そうとしている

生態系に踏み込めば、すべてが繋がっている。すべてだ。ある部分に何かが起これば、すべての部分に何かが起こる。究極的には、それこそがスター・ウォーズの主要な流れの1つだ。これが宇宙論なのだ。フォースはエネルギーであり、燃料であり、それがなければすべてがバラバラになってしまう。

フォースは神のメタファーであり、神は本質的に知りえないものである。だが、その背後にはもう一つのメタファーがあった。それがこの映画にとてもよく合っていて、私はそれを使わずにはいられなかった」

ルーカスは、スター・ウォーズにおけるフォースで、二つのことを描こうとしていた。一つは「神と信仰」についてであり、もう一つは「共生」だ。神話とは、「円を描いて旅をするもの」であり、フォースを介して「すべては繋がっている」。そして、この繋がり、すなわち「共生」は、単なる生態系の話にはとどまらない。

共生関係がエピソード1、2、3で破壊された結果、銀河は悪の道へと進んでしまう。そして、エピドート4、5、6では、反乱同盟軍が共生を作ることで勝利を目指す。つまり生態系だけでなく、社会においても、共生関係を保つことが重要なのだ

ナブーとグンガンの共生による勝利

共和国の共生が破壊されている『EP1/ファントム・メナス』でも、ナブーの戦いでは勝利がもたらされる。それは、ナブーの人間種族と、グンガン種族が共生をなした結果だ。社会でも、共生なくして、正義はありえない

続けて、ルーカスはこうも述べている[3]。

「『クローン・ウォーズ』で、クワイ=ガンは宇宙のフォースを学び、エピソード1で死んだとき、人格を保ったまま宇宙のフォースに加わり、エピソード3ではヨーダと話すことができるようになった。そこで彼は、自分のアイデンティティを保つためにフォースの霊体になる方法について詳しく学んだ。クワイ=ガンはその情報をヨーダに伝え、ヨーダはベンに教え、ベンはルークにその方法を教えていた。

そうやって共生する輪が、いわば天への行き方を教えたわけだ。これはギリシャ神話に基づくもので、神になる方法だが、より現実的な意味で、エゴやアイデンティティを排除したものだ」

ルーカスの言う「共生」は、同じ時代に共に生きることに留まらないことが分かる。クワイ=ガン、ヨーダ、オビ=ワン、ルークと時代を超えても、彼らは共生関係にある。「世代間倫理」ならぬ「世代間共生」。ジェダイは世代を超えて連帯し、共生し、輪を繋げたからこそ、悪のシスに打ち克ち、永遠の生、天にたどり着いた。

ジェダイが共生によって勝利を掴むという構図は、ルーカスがシスの「悪」を説明した発言からも垣間見ることが出来る[ソース]。

(暗黒面を受け入れた)シスは貪欲で、自己中心的で、全員を支配したいと望み、お互いに殺しあった。生き残ったのはたった一人で、その一人が弟子をとった。そして何千年もの間、師匠が弟子に教え、師匠が死に、弟子がまた弟子に教え、師匠になるということを繰り返してきた。しかし、シスは二人以上にならない。 もし増えれれば、彼らはリーダーを追い出そうとする。それが、ヴェイダーがやろうとしたことだし、 皇帝がやろうとしたことだ。皇帝はヴェイダーを排除しようとし、ヴェイダーは皇帝を排除しようとした。このシスの行動は、共生関係のアンチテーゼである。そんなことをしてしまえば、癌になり、最終的には宿主を殺してしまい、すべてが死んでしまう。

共生関係を破壊したシスは、やがて自らの組織を蝕んでいき、滅びる結果となった。彼らは、「共生関係のアンチテーゼ」として描かれ、共生の必要性を訴える存在になっている。

つまり、ルーカスにとって、スター・ウォーズとは「共生」の重要さを伝える話なのだ。生態系も、社会も、歴史も、すべては共生関係にある。その共生を保とうとすることこそ、スター・ウォーズにおける正義なのだ。

「フォースのバランス」とは

さて、ウィルズについて掘り下げていくと、スター・ウォーズの本質が見えてきた。そして、これはスター・ウォーズ最大の謎である「フォースのバランス」の正体にも繋がる。おさらいだが、「フォースのバランス」は、『EP1/ファントム・メナス』より登場した概念だ。ジェダイ曰く「フォースの意志によって生まれたアナキンは、シスを滅ぼしてフォースにバランスをもたらす」。この曖昧な予言の内容を巡って、ファンは長年論争を繰り広げてきた。そして、ルーカスは自身のエピソード7案で、「バランス」をウィルズに結びつけようとしていた[2]

「(ウィルズのような)単細胞生物にはバランスが必要だ。良いものと悪いものがなければ、生命を消滅させてしまう。バランスを崩すと、ダークサイドに支配されてしまう」

バランス」とは、ウィルズが生きるために必要としているものなのだ。例えば生と死の「バランス」が崩れれば、生態系は崩壊に向かう。そう考えると、これは自明のことである。

ここで思い出してもらいたいのが、「<フォースの意志>が、バランスをもたらす選ばれし者を生んだ」というEP1の設定だ。先に述べたように、「フォースの意志」とはウィルズである。EP1の設定と、ウィルズが「意志」であること、ウィルズがフォースを糧にしていることを組み合わせて考えると、一つの結論にたどり着く。ミクロ生命体であるウィルズは、生きるために必要な「フォースのバランス」をマクロ生命体である人間に実現させようとしている。つまり、「フォースのバランス」とは、ウィルズが必要とする環境にすぎないのだ。

いや、この書き方では不正確だ。ウィルズがバランスを必要とするのならば、人間もバランスを必要とする。なぜならば、先述したように、ウィルズが属するミクロな生態系と人間が属するマクロな生態系は共生関係にあるからだ。「フォースのバランス」は、生態系の根幹にある。

すなわち、マクロな生命体である人間にとって、「フォースのバランス」とは、「ウィルズとの共生を保つ」ことに他ならない。バランスがもたらされることで、ウィルズは生き永らえる環境を得て、同時に人間も生き永らえる。ルーカスがウィルズという設定で示したかったことは共生であり、「バランス」は共生の類義語なのだ。

ここまで目を通していただければわかるだろうが、もちろん「バランス」は「共生」と同じように、生態系だけでなく、社会においても、歴史においても意味を持つ言葉だ。生態系での共生は一例に過ぎず、社会でも「共生」すなわち「バランス」が必要だ。

また、バランスには、個人の心のバランスという共生とは違った意味もあるだろう。ただ、この記事は「ルーカスのエピソード7案を資料から読み解く」ものであり、バランスについての考察は別の機会に譲る。

だが、そうなると、「選ばれしもの」であるアナキンが、どのように「共生」と「バランス」を実現したのかが気になるところだ。結論から言うと、ルーカスのエピソード7案において、シスを倒しただけのアナキンは「選ばれしもの」ではないレイアこそが、真の「選ばれしもの」なのだ。これは、ルーカス自身が明言しているところである。次回は、その詳細について読み解いていこう。


付録:ルーカスの発言

記事中では分かりやすさを優先し、ジョージ・ルーカスの発言の一部を再構成した。それでは彼の真意が伝わりきらない部分もあると思われるので、最後に該当部分の全訳を引用しておく。詳細は、こちらか引用元をご参照いただきたい。

[1]ジェームズ・キャメロンとの対談での発言、『James Cameron's Story of Science Fiction』(2018年)より

「『ファントム・メナス』で、ミディ=クロリアンについて話し始めると、みんなが嫌がった。あの映画では、私たちはボスではないと知らしめるために、共生関係という側面を描いた。ここには生態系があるのだ。

(シークエル三部作は)マイクロバイオームの世界に入り込もうとしていた。そこには我々とは異なる動きをする生き物の世界がある。私は彼らを<ウィルズ>と呼んでいる。そしてウィルズこそ、実際に宇宙を支配している存在だ。彼らはフォースを糧にしている。

昔から、私は言っていた。私たちはウィルズが移動するための車、乗り物に過ぎないと。私たちは彼らの器なのだ。ミディ=クロリアンは、パイブ役だ。ミディ=クロリアンは、ウィルズと交信する。つまり、ウィルズこそフォースなんだ。最初から最後まで、ジェダイやフォースなどの物事がどのように起こるかというコンセプトは、用意されていた。だが、私はそれを完成させることができなかった。人々に話すこともできなかった。

もし私が会社に残ろうとしていれば、それを完成させることができただろうし、実際に完成させていただろう。もちろん、多くのファンは『ファントム・メナス』等と同様に、それを嫌っただろう。だが、少なくとも、最初から最後までのストーリーが明らかになった」

[2] ポール・ダンカンのインタビューでの発言、『The Star Wars Archives: Episodes I–III, 1999–2005』(2020年)より

「ウィルズはアメーバや菌類、バクテリアのような微小な単細胞生命体だ。ウィルズの数はミディ=クロリアンの約10万倍、ミディ=クロリアンの数は、人間の細胞の約1万倍。

人間の細胞の中に入ることができるミクロな存在は、細胞の中で生まれてくるミディ=クロリアンだけだ。ミディ=クロリアンは、人間の細胞が分裂し、生命を生み出すためのエネルギーを供給している。ウィルズはフォースを餌とする単細胞動物だ。フォースが多ければ多いほど、彼らにとっては有利である。そのため、ミディ=クロリアンとは非常に濃密な共生関係にある。ミディ=クロリアンは、事実上ウィルズのために働いている。

私たちの体内には100兆個の微生物がいると言われているが、私たちは約90%のバクテリアと10%の人間の細胞でできている。では、誰が誰に仕えているのだろうか?

ファンには受け入れがたい話だろう。<我々は神秘的な魔法を望んでいるだ><お前のは科学だ>とね。いや、これは科学じゃないんだ。スター・ウォーズは、何はともあれ、神話的なものなんだ。科学的に聞こえるけど、フィクションなんだ。

生命を生み出し、フォースを生み出すために大きな共生関係があると言っているが、宇宙に存在するすべての生命体を見ると、そのほとんどは単細胞生物だ。私は、単細胞生物は宇宙を旅することができる先進的な生命体だと考えている。なぜなら、単細胞生物は、たまに降ってくる隕石に乗って、宇宙を旅することが出来る。何千年もその上で生活し、凍ったり凍らなかったり、ほとんどどんな状況でも生き延びることができる。 

単細胞生物にはバランスが必要だ。良いものと悪いものがなければ、生命を消滅させてしまう。バランスを崩すと、ダークサイドに支配されてしまう」

[3] ポール・ダンカンのインタビューでの発言、『The Star Wars Archives: Episodes I–III, 1999–2005』(2020年)より

「神話を語るときは、いつも円を描いて旅をする。曼荼羅のように、小さな円があり、さらに大きな円があり、最終的には宇宙を包含することになる。物語を語るのも同じで、すべての人、関係、共生関係のグループは、常に円を描いて旅をしているんだ。それは、始まりの場所に戻るか、他の円と交わるかのどちらかになる。最後は、すべてがつながっているからこそ、生き残ることができる。

エピソード1、2、3では、すべての共生関係が引き裂かれている。『EP1/ファントム・メナス』では、元老院議員たちはお互いを助けることよりも自分たちのことに関心がある。彼らは、共生の輪から外れてしまった。彼らの利害が乖離してしまったために、共和国として何も合意できない。そして、議長は、自分が作り出したこの分裂を利用して皇帝になる。エピソード4、5、6では、反乱軍が旧共和国から独自の共生関係を形成し、帝国と戦う。彼らはバランスを取り戻そうとしている。

生態系に踏み込めば、すべてが繋がっている。すべてだ。ある部分に何かが起これば、すべての部分に何かが起こる。究極的には、それこそがスター・ウォーズの主要な流れの1つだ。これが宇宙論なのだ。フォースはエネルギーであり、燃料であり、それがなければすべてがバラバラになってしまう。

フォースは神のメタファーであり、神は本質的に知りえないものである。だが、その背後にはもう一つのメタファーがあった。それがこの映画にとてもよく合っていて、私はそれを使わずにはいられなかった。

ミディ=クロリアンとは、生物で言えば<ミトコンドリア>、植物で言えば<光合成>に相当するもので、見る人が消費しやすいように単純に組み合わせただけだ。ミトコンドリアは、1つの細胞を2つの細胞にするための化学エネルギーをつくる。

私は、生命には統一された現実があり、それは宇宙のどこにでも存在し、物事をコントロールしていると考えている。だが、皆さんは、それをコントロールすることもできる。

そのため、私はそれを個人的なフォース(リビング・フォース)と宇宙のフォース(コズミック・フォース)に分けて考えている。個人のフォースとは、私たちが生きている間に細胞が相互作用して作り出したエネルギー・フィールドのことだ。私たちは死ぬと人格を失い、そのエネルギーは、宇宙のフォースに同化される。

ミディ=クロリアンが体内に十分にあれば、個人のフォースをある程度コントロールすることができ、仏教でいうところの熱い炭の上を歩けるようになるほどに、その使い方を学ぶことができる。しかし、ミディ=クロリアン数が少ないために、それができない人もいる。これは遺伝的なものだ。ミディ=クロリアンが多ければ多いほど、フォースにアクセスしやすくなる。だから使い方の訓練が必要だ。たとえば、数学やピアノが得意でも、物理学者やピアニストになるためには、訓練を受けなければならない。フォースの使い方、他の人とは違う才能を持つ遺伝子の使い方を訓練しなければならない。

だから、(才能を)見つけ出して育てる必要がある。ミディ=クロリアンが一定数以上あれば、ジェダイになることができる。ジェダイは、個人のフォースとつながり、そして宇宙のフォースとつながるための訓練をする。宇宙のフォースをコントロールする力はあまりないが、それを利用することはできる。ジェダイは遺伝子の性質上、普通の人よりもミディ=クロリアンを多く持っているが、私たち人間の世界とミクロの世界には直接的なつながりはないのです。

ジェダイは優秀だが、ファンタジーではない。彼らは決してスーパーヒーローとしてデザインされたわけではない。彼らは仏教の僧侶であり、偶然にも非常に優れた戦士であるようにデザインされている。そして、彼らは、人間の世界の平和維持者になった。

『クローン・ウォーズ』S6第11話「声」で説明されているように、クワイ=ガン・ジンは「生命の泉」で5人のフォースの巫女と時間を過ごした。彼らは、自分が死んで宇宙のフォースと一体になるとき、どうすれば自分の人格を維持できるかを説明した。

『クローン・ウォーズ』で、クワイ=ガンは宇宙のフォースを学び、エピソード1で死んだとき、人格を保ったまま宇宙のフォースに加わり、エピソード3ではヨーダと話すことができるようになった。そこで彼は、自分のアイデンティティを保つためにフォースの霊体になる方法について詳しく学んだ。クワイ=ガンはその情報をヨーダに伝え、ヨーダはベンに教え、ベンはルークにその方法を教えていた。

そうやって共生する輪が、いわば天への行き方を教えたわけだ。これはギリシャ神話に基づくもので、神になる方法だが、より現実的な意味で、エゴやアイデンティティを排除したものだ」

参考文献

George Lucas’ Episode VII Everything we know about George’s vision for the seventh Star Wars movie.

Image by kjpargeter on Freepik

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