【考察・感想・豆知識】ドラマ『キャシアン・アンドー』第六話:前半戦のクライマックス!

2022年10月14日金曜日

 


  • タイトル「目(The Eye)」
  • 監督:スザンナ・ホワイト
  • 脚本:ダン・ギルロイ
  • 前回:第五話
  • 次回:第七話


 第六話は、折り返し地点の前半戦クライマックスで、アルダーニ編の完結作だ。緊張感にあふれる一話で、映像面でも美しい。ファンからの評価も最も高い。今までの人間ドラマの積み重ねで、ただのドンパチではない、味わい深いアクション回となっていた。


重くて軽い人の命と、緊張感




 「アルダーニの目」の当日、いよいよキャシアン・アンドーたちは、作戦を実行する。経験も兵力も圧倒的に足りない彼らは、少しのミスで無駄死にとなりかねない。リーダーのヴェル・サーサすら計画実行を躊躇い、何度もパートナーのシンタに励まされる。観客も、誰が生き残るのか、作戦が成功するのかわからず、兵士の視線すら気になるほどの緊張感があふれる一話になっている。


 結果的に、反乱者たち一行は、ゴーン中尉タラミンネミックを戦闘で失う。この二話で見てきたように、彼らにはそれぞれの戦う理由があった。その命は間違いなく重いはずだ。しかし、戦争において、人の命はあまりにも軽い。『ローグ・ワン』の面々のようにドラマチックに死ぬことはなく、彼らは作戦の駒として死んでいく。ゴーンは銃撃戦が始まった途端に殺され、タラミンもあっさり射殺され、ネミックは事故の末に見捨てられそうになった。


 そして、忘れてはならないが、帝国軍人も、重くて軽い命だ。子どもを守ろうとして殺されたペディガー大佐や、家族を守ろうとした上で病死したジェイホールド・ビーハズ司令官は、完全な悪者だとは思えない。彼らにもそれぞれの思いがあったはずだ。だが、あっさりと悪役として死んでいく。



 物語の最終盤、アルダーニ人と帝国軍人、そして反乱者のシンタはアルダーニの目を共に見上げる。文化や思想の違いこそあれ、美しいものに心を奪われる姿は同じだ。モブの命も、敵の命も、平等に重い命。だが、戦争では軽く命がやり取りされる。このリアルな描写が、誰が死ぬか分からない、でも誰にも死んでほしくないという緊張感を生んでいる。


戦うための大義とは



 帝国の支配は巧妙だ。暴力だけでなく、選択肢をあえて与えることで、アルダーニ人から本当に望むものを奪っている。ネミックの言うところの「自由を奪っている」とはこのことだ。ネミックは、そんな帝国を倒すという大義を胸に抱いていた。


 だが、物語の終盤、彼は事故で瀕死の重傷を負う。「彼こそが俺たちがここにいる理由だ」とネミックの治療を望むスキーンと、「大義のため」に作戦を優先しようとするヴェルは、対立する。キャシアンは、スキーンに賛同し、彼を医者の元へと運んだ。だが、直後にスキーンは衝撃の提案を行う。「二人でお金を山分けしよう。兄の話は嘘で、大義には興味がない」と。キャシアン・アンドーは怒りに身を任せ、本音を「告白した」スキーンを射殺した。



 キャシアンを擁護したいあまり、スキーンは「悪者だった」と思いたくなる。だが、果たしてそうなのだろうか。この告白がキャシアンを試す嘘だった可能性もある。キャシアン以上にスキーンを知っていたヴェルは、彼を信頼していた。仮にこの告白が本当だったとしても、「大義」を信じていないスキーンだからこそ、ネミックを救うための提案が出来たのだ。彼の考えを責めるべきなのか。さらに言えば、金にしか興味がないと告げるスキーンは、自分が傭兵であると周りに告げたキャシアンと何も違わないのではないか。人を殺すということは、告白の真意を闇に葬ることである。ここからも人の命の重みが伝わる。


 キャシアンの心の中と同様に、我々観客の心もかき乱される。いや、キャシアンのことを正確に知らない我々は、さらに何が大義なのか分からなくなる。スキーンが間違っているのか、ヴェルが間違っているのか、キャシアンが間違っているのか。


 ただ一つわかることは、ネミックには確かに心に抱く大義があったということだ。復讐や金銭欲に目がくらむ連中に囲まれながらも、彼は常に正義を信じていた。そして、その大義は宣言書としてキャシアンへと受け継がれた・・・。


言論ではなく、暴力での革命へ

 正義をもたらすために「どんな方法であろうと、帝国に反乱を見せつけるべきだ」と語っていたネミック。キャシアンは「奴らは何も学ばない」と冷たく突き放すが、それは真実ではなかった。アルダーニの事件を受け、デドラ・ミーロが所属する帝国保安局は慌てふためき、報復措置を徹夜で練ることになる。


 一方、モン・モスマは未だに民主主義を信じ、議会でゴーマンの民の救済を訴えていた。だが、誰一人聞く耳を持たない。もはや言論で解決できる時代は終わり、暴力がものを言う時代になったのだ。これから彼女は、大義のために戦争へと身を投じることになる。



 ルーセン・レイエルは、反乱の狼煙が上がったことに満面の笑みを見せる。帝国への復讐を願う彼は、作戦に歓喜する。「失われた言語には勝手に意味をつけて良い」と語るルーセンには、反乱で命を落としたゴーン中尉やタラミン、ネミックの想いを受け継ぐことはできないだろう・・・。暴力の時代が始まる。


豆知識


帝国の正規歩兵

 アルダーニでの帝国軍兵士は、エリート部隊のストームトルーパーではなく、『ハン・ソロ』にも登場した正規兵だ。 E-10 ブラスターで武装している。


アルダーニ・ダムのロケ地

 ダムのロケ地は、スコットランドのクルアチャン・ダム。ほとんどダムに手を加えずに再利用している。


エコー

 このエピソードで、反乱分子はエコーというコールサインを使っていた。ゲーム『Star Wars: Squadrons』には、反乱同盟軍の戦闘機中隊、エコー中隊が登場する。その中隊でも、エコーがコールサインとして用いられた。


AK-47

ヴェルとシンタは、少し前に話題になっていたAK-47のようなブラスターを使用している。


デヴァロン

 ルーセン・レイエルが客に紹介しているのは、デヴァロン・ブルーの硬貨。惑星デヴァロンは、『EP4/新たなる希望』に登場したデヴァロニアン種族の故郷の惑星だ。


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画像は、ドラマ『キャシアン・アンドー』(2022年 Lucasfilm)より引用

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