【レビュー・海外の反応・豆知識】『モール/シャドウ・ロード』第5話「尋問」 第6話「追われる者たちの夜」

2026/04/21

モール レビュー

t f B! P L

  • 第5話「尋問(Inquisition)」
  • 第6話「追われる者たちの夜(Night of the Hunted)」
  • 評価: ★8.0(第5話)、★9.1(第6話)(10点満点、IMDbユーザー評価)
  • 前回→第3話・第4話
  • 次回→第7話・第8話
第5話・第6話は、帝国の介入によってジャニックスの力関係が一気に崩れ、誰もがそれまでの立場ではいられなくなった回だった。逃げ場のない追跡劇の中で、ダキ、ローソン、トゥー=ブーツ、ルックそれぞれの揺らぎが浮かび上がる一方、モールだけが不気味なほどの安定感を保っている。だからこそ彼は危険でありながら、同時に頼もしさすら帯びて見える。

あらすじ

モール潜伏の通報を受けて、ブレイク中尉率いる帝国軍が惑星ジャニックスに現れた。惑星は封鎖され、署長は更迭され、警察も帝国の管理下に置かれる。ブランダー・ローソン警部も尋問官ファースト・ブラザーのマロックから尋問を受け、モールについて探られる。モールの副官ルック・キャストは拠点を移すべきだと進言するが、デヴォンを弟子にしたいモールは離れるつもりがない。ローソンの息子ライリーは父の身を案じて動くが、トゥー=ブーツは彼をあしらい、帝国に仕える母もまた帝国に従えと語るだけだった。そんな彼のもとに、ローソンを頼ってイーコ=ディオ・ダキデヴォン・イザラのジェダイ師弟が訪れる。

息子の安全のために協力できないと断ろうとするローソンだったが、時すでに遅し。マロックがアパートを襲撃し、四人は戦闘の末に帝国のお尋ね者となる。一行はローソンの友人リーナ・スルのもとへ身を寄せるが、そこにもマロックが迫り、二人の大人と離れ離れになったデヴォンとライリーは危機に陥る。そこにモールが颯爽と現れ、デヴォンと共闘してマロックを退ける。二人は帝国という共通の敵を前に、ひとまず手を組むことになる。

レビュー


第5話・第6話は、帝国の登場により物語が一気に動いた回であった。誰もが、それまでの立場のままではいられなくなった。トゥー=ブーツはますます規則に従わざるを得なくなる。モールの副官ルック・キャストは、帝国が現れたというのにデヴォンに執着し続けるモールに不信感を抱く。ダキは町が封鎖されて脱出が不可能となり、ローソン警部を頼る。ローソン警部とライリーの親子は巻き込まれた形で帝国に追われるお尋ね者となる。そしてデヴォンは追われ続けた末、最後にはモールに助けられ、彼と手を組むことになる。この二話で印象的なのは、帝国の介入によって誰にとっても逃げ場がなくなっていく一方で、モールだけがどっしりとした安定感を保ち、頼りがいのある存在に見えてしまうことだ。

第6話は観客に息をつく暇を与えない作りだった。意表をつく形でアパートのドアに赤いライトセーバーが突き刺さり、そこから一連の逃亡劇が始まる。マスター・ダキはアパートの室内と屋上の二度にわたり、自分一人で食い止める役目を引き受け、何度も死亡フラグを立てる。ガンシップを奪って逃げ切れたかと思えば、すぐに追撃を受ける。それを振り切っても、別のガンシップが間髪入れずに現れる。スルのもとに逃げ込んでも、帝国軍は容赦なく迫る。スルが口八丁で切り抜けるかと思いきや、それも失敗し、再び戦闘に突入する。ダキが死んでしまうかもしれないという緊張感に加え、「どこへ行っても安心できない」という感覚を何度も突きつけられる。だからこそ、モールが登場した時の安心感が際立つ。モールと手を組んでしまうデヴォンの気持ちにも、観客は共感できる。この第6話の巧さは、ただテンポがいいことではなく、逃げても逃げても安全地帯がないという状況を徹底することで、デヴォンがモールへ傾いていく流れに強い説得力を与えている点にある。もっとも、観客の側には、モールがデヴォンを監視し、助ける機会をうかがっていたことも見えているのだが。

このような危険な状況にローソン警部とライリーを巻き込んだのは、間違いなくマスター・ダキの責任ではある。彼は、ジェダイを庇えばジェダイと同じ悲惨な目に遭うことを知りながら、ローソン親子を巻き込んだ。人のために戦うはずのジェダイが一般人を巻き込むその姿勢は、堕落にすら見える。だが、これは単なる自己中心的な行動ではなく、デヴォンを思うがゆえの行動だろう。前回もデヴォンを失望させたことへの謝罪をしており、ダキは目上のジェダイ・マスターとして、デヴォンに対して「申し訳ない」「守らねばならない」という気持ちが垣間見える。デヴォンがモールの言葉に共感し、「能力を無駄にしている」「モールの言い分もわかる」と語ったことで、ダキの中には焦りが生まれ、デヴォンをモールから遠ざけつつ守るため、他に頼れる現地の人間としてローソン警部を頼ってしまったのだろう。ダキもまた、確実に追い詰められている。この二話では、帝国だけでなく、善の側にいるはずのダキもまた冷静な判断を保てなくなっている。その危うさが、状況の切迫をより強く印象づけていた。


ジェダイを追い詰める尋問官としてこの二話のメイン・ヴィランを務めたのは、「ファースト・ブラザー」であるマロックだ。ドラマ『アソーカ』では謎多き元尋問官の「やられ役」に過ぎなかったが、今回の彼は率直にかなりかっこよかった。ホラー風の登場演出、重厚感のある仮面、カル・ケスティスさながらのサイコメトリーで現場から情報を得る能力、そしてダキやデヴォンを追い詰め、モールとも渡り合うアクション。今までの尋問官の中でも一番の存在感があった。ライティング、カメラワーク、演出、アクション、すべてが噛み合っており、本作のレベルの高さがわかる。(個人的には、回転式ライトセーバーで空を飛ばなかったのだけが残念だ。あのシュールな絵面をもう一回見たいのだが……!)。マロックがここまで強く、執拗で、どこまでも追ってくる存在として描かれているからこそ、第6話の逃亡劇は成立しているし、終盤のモール登場もより鮮烈に映る。

帝国の来訪でジャニックスをめぐる情勢は大きく変わったが、それを招いた当の本人であるトゥー=ブーツは、純粋にそれを好ましく思っている。モール確保後のことはわからないと語ったり、ローソン警部が釈放されない可能性を当たり前のように口にしたりするあたり、ただ帝国を絶対視しているというより、事件解決以外に興味がないように見える。彼は、帝国への忠誠というより機能優先なのだ。スター・ウォーズのドロイドは誰も彼も人間味あふれる存在として描かれてきたので、このロボットっぽい、AIっぽい考え方は異質だ。これが現代的な描き方なのだろうか。ただ、ライリーのフランクな接し方や、規則違反のブーツをトレードマークにしているところを見るに、人間味がないわけでもなさそうだ。クローン・トルーパーと同じように、帝国によって人間味を奪われた存在なのかもしれない。相棒だった警部が帝国のお尋ね者となり、ブーツの処分も命じられた彼が、それでも規則に忠実に従い続けるのかは見ものだ。

また、モール陣営もギクシャクしている。マンダロリアンたちは帝国の登場は聞いていないと語り、金が稼げないのなら抜けると言い出す者までいる。中間管理職のルック・キャストはそれを押しとどめるが、デヴォンに執着するモールへのいら立ちもある。それゆえか、モールが足の修理をしていようが、ライトセーバーを振るっていようが、ずかずかと遠慮なく入り込んでいく。モールもまたマンダロリアンやルックを信頼しきっておらず、足の修理はナイトブラザーの兄弟たちに任せている。この二話で安定して見えるのはモールという個人であって、彼の陣営そのものが盤石になったわけではない。むしろ周囲には不満と不信が蓄積しており、モール陣営にも今後の火種は確実に残されている。


最後になるが、モールの一人でのライトセーバーの演舞はかなり印象的だった。足の修理具合を確認していたということだろうが、目をつぶり、荒々しく、しかし静かにライトセーバーを振るう姿は瞑想のようだった。『EP1/ファントム・メナス』でのクワイ=ガン・ジンとの戦いでは、シールドに遮られ、クワイ=ガンは瞑想し、モールは落ち着きなく歩き回っている場面があった。今回のシーンを踏まえると、その落ち着きのなさが、当時の未熟さを示していたように改めて思える。今回の演舞では動き回ってはいるが、目は閉じ、静けさは保っている。剥き出しの敵意はないが、危険な鋭さはあふれ出ている。モールの進化を端的に描いたシーンに思えた。帝国の登場によって誰もが追い詰められ、焦り、判断を狂わせていく中で、モールだけが静けさを保っている。だからこそ彼は危険でありながら、同時に奇妙な頼もしさをまとって見える。この二話は、その危うい魅力を強く印象づける回でもあった。

海外の反応

「トゥー=ブーツ、ありがとうな。マジで余計なことしてくれたな」

「モール vs マロック、始まった瞬間から<ダークサイド使い同士の殺意高めバトル>って感じで好き」

「かなりいい作品だと確信した。帝国がジャニックスを食っていく感じもよかったし、マロックが今回はちゃんと捜査してるのもよかった。ただ見た目がカッコいいだけじゃなくて、ちゃんと脅威になってたのがデカい。あと俺の中の10歳男児にめっちゃ刺さる」

「マロック、めちゃくちゃ良いな。尋問官の描き方としては、トリラ除けば今んとこ一番うまくやれてるまである」

「尋問官って、これまで<その週の悪役>みたいな一面的ヴィランとして描かれがちで、正直ちょっと退屈だったんだよな。だから今回、短い出番でもマロックがその型を外してきたのはうれしい。サイコメトリー持ちって設定も、ナイトシスター由来の不気味さもあって、他の尋問官より興味が持てる。『アソーカ』用に作られたキャラだけど、その後『テイルズ・オブ・エンパイア』にも出てるし、このシリーズで亡霊っぽさを掘ってくれるのはかなりアリ。『テイルズ・オブ・ジェダイ』にもいたペスト医師みたいな仮面の尋問官にも、このシリーズでちょっとは見せ場くれよ。どうせ最後はアソーカに雑に処されるんだけどさ笑」

「最近の作品って、<帝国が一般市民にとってどれだけ怖いか>の見せ方がうまいよな。たとえば『キャシアン・アンドー』での単機のTIEですら、見つかったらほぼ死刑宣告みたいな圧があった。アソーカ級の相手には尋問官もそこまで怖く見えないけど、ただの警官が密室であいつらと向き合わされたら、失禁もの」

「橋の上でモールが訓練してるシーン、めっちゃ良かった。あれまたモーションキャプチャー使ってる? 『クローン・ウォーズ』終盤でも使ってたよね」

「ラストにいたのがベイダーだったら、モールにまだ因縁ありそう。昔、ガキの頃のアナキンをスピーダーで轢こうとしてたしな」

「ちゃんとライトセーバーでストームトルーパーが普通に死ぬ描写を露骨に描いていたのが、よかったわ」

「ストームトルーパーが、ついに第三者視点でジェダイのマインド・トリックを目撃してて笑った」

「6話の最初の戦闘のフォース・プッシュのSE、『フォース・アンリーシュド』のやつっぽく聞こえるんだが」

「え、ちょっと待って。ローソンのブラスター・ピストルが強すぎるのか、あのLAAT系ガンシップの防御が紙すぎるのか、どっちだよ」

「デヴォンが来たときにライリーが部屋片づけてるの、いや今そこじゃねえだろ感あって笑う。お前もっと他に気にすることあるだろ」

豆知識

マロック


今回モールを追跡する尋問官は、ファースト・ブラザーことマロック。マロックはもともとデイヴ・フィローニが『アソーカ』シーズン1のために生み出したキャラクターで、同作で最期を迎えた。その後、『テイルズ・オブ・ジ・エンパイア』にも登場している。

TKトルーパー


本作に登場するストームトルーパーはTKトルーパー。共和国のクローン軍が徐々に退役していく中で最初に徴兵された帝国兵であり、おなじみのストームトルーパーの前身となる存在。『バッド・バッチ』にも登場していた。そのデザインは、ラルフ・マクウォーリーによる初期『スター・ウォーズ』コンセプトアートへのオマージュになっている。

ガンシップ


ストームトルーパーを輸送していた帝国軍のガンシップは、クローン戦争期にクローン・トルーパーがたびたび使用していた低空強襲トランスポート(LAAT)を、帝国仕様にアップデートした機体である。

カフーン


リーナがジャニックスの混乱を「カフーンの巣」と呼ぶが、カフーンとは『クローンの攻撃』でザム・ウェセルがパドメ暗殺に使った、致死毒を持つ節足動物のような小型クリーチャーのこと。

シャイニー

スパイボットはストームトルーパーを「インピー・シャイニーズ」と呼ぶが、「シャイニー」は『クローン・ウォーズ』でベテラン兵が新兵クローンをからかう時の蔑称だった。

ローソンの元妻

ローソンの元妻、そしてライリーの母の声を担当しているのはタムリン・トミタ。日系アメリカ人であり、映画『ベスト・キッド2』のクミコ役でスクリーンデビューしていた。

        【『モール/シャドウ・ロード』シーズン1】
        第1話・第2話
        第3話・第4話
        第5話・第6話
        第7話・第8話

筆者:ジェイK(@StarWarsRenmei

画像は、スター・ウォーズ(1977年-2026年、ルーカスフィルム)より。ユーザー評価は、記事執筆時点。出典 出典

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