【レビュー】『ビジョンズ』Volume3 (ボリューム3)

2025/11/09

アニメ レビュー

t f B! P L


『ビジョンズ』ボリューム3はシーズン1からさらに進化していた。作品の質も上がり、作風の幅も広がり、ここでしか見られないスター・ウォーズがあった。世界中で愛され進化し続けている世界最大のシリーズであるスター・ウォーズの一つの到達点と言えるだろう。語りたいことは山ほどあるが、ひとまず下記にて各作品の簡単なレビューをまとめておく。

The Duel Payback

期せずして同じ目的を持った者たちと一時の共闘へ臨むことになったローニン。
彼が対峙するのは、復讐に取り憑かれた歪んだジェダイ――光と闇の境界が、いま再び揺らぎ始める。
ボリューム1の目玉だった「The Duel」の正統進化と呼ぶにふさわしい作品。前作は黒澤明へのオマージュが強調されていたが、本作では「The Duel」独自の味わいが全面に押し出されている。冒頭からスタイリッシュなデザインが惜しみなく展開され、一気に『ビジョンズ』へ没入できる。トワイレックのアネ=サンによる独特なレックの結び方、アンゼランを新解釈したケ=ダマ親分、賭場として使われるAT-AT、そしてそれが戦場へと変貌するダイナミックな演出。どれも新鮮でワクワクさせられるスター・ウォーズの再解釈だ。

前作はスター・ウォーズの源流である黒澤明作品への回帰が目立ったが、本作はスター・ウォーズ内部で進化してきた要素をさらに引用している。『EP6/ジェダイの帰還』からはイウォーク、プリクエル三部作からはジェダイとクローン・トルーパー、そしてシークエル三部作からはアンゼラン等々。スター・ウォーズが黒澤明から受け継ぎ発展させてきたデザインを再び黒澤作品風へと見事に回帰させている。こうした引用の積み重ねが、本作を単なるオマージュではなく、スター・ウォーズの歴史を凝縮した再解釈へと昇華させている

そして忘れてはならないのが、新キャラクターのグランドマスターの存在だ。声優がアナキンを演じてきた浪川大輔さんということもあり、半身が機械となり復讐に憑りつかれるそのジェダイの姿は、同じく半身が機械となりシスへと堕ちたアナキンのもう一つの可能性を想像させる。彼が色がわからなくなり最後に赤いセーバーを手に取る演出は、白黒の中で光の色だけが強調される本作ならではの鮮烈な仕掛けであり、その巧みさには唸らされた。そして、もう一方では自らの過ちを正すべく闇も光も受け入れて生きるローニンの生き様が強調される。エンディングで彼がシス狩りを続けながらも、憑き物が落ちたような穏やかな表情を見せる場面は、作品全体を締めくくる印象的な余韻を残していた。

四枚羽の詩

雪に覆われた惑星の極点付近に帝国軍が降下し、反乱軍基地に大きな危機が迫る。敵の動きを探るため偵察に送り出されたのは、志の高い若き戦士クラネと相棒のアストロメク・ドロイド、トーチュ。
彼女たちは帝国軍の襲撃を受けた村で唯一の生存者であるウーパスと出会い、そして避けられぬ敵との戦いに身を投じることになる。
圧倒的な火力を備える帝国軍に、クラネたちはどう立ち向かうのか?
スター・ウォーズにとうとう「魔法少女もの」が登場!しかしそれは決して突飛な試みではなく、スター・ウォーズの世界観の中に完全に溶け込んでいた。鍵となっているのは、一流のメカのデザインだ。トーチュ、AT-ATの「第二形態」、そして変身後のクラネ――いずれもスター・ウォーズを新たに解釈した美しい造形であり、作品全体を支える強固な基盤となっている。

さらに本作は、細部から「スター・ウォーズ愛」が伝わる仕上がりだ。プリクエルからはサイズミック・チャージ、『マンダロリアン』からはフォース感応者の子供との邂逅、『ハン・ソロ』からはコアキシウム(そしておそらく冒頭のオープニングクロール)。数々のオマージュを散りばめつつ、クラネの変身がそれらを一つに束ね、本作を新しいスター・ウォーズへと昇華させている。テイ・トウワさんの電子音を活用する音楽も特筆すべき点だ。スター・ウォーズ作品で電子音主体の音楽は稀であり、その斬新さが本作の唯一無二の地位を確立している。映像と音楽の融合が、魔法少女的要素を違和感なく銀河の物語へと組み込んでいるのだ。

そして心に残るのが、日本らしい民家に落ちていた折り紙の鶴が四枚羽だったという演出。ウーパスにとって四枚羽は重要な意味を持ち、反乱軍のXウィング、そしてクラネ自身が希望の象徴となる。クラネがかつて四枚羽を操る反乱軍に救われたように、今度はウーパスも救われる。反乱軍の持つ四枚羽により、希望は連鎖し、物語は静かに、しかし力強く未来へと繋がっていく。

The Ninth Jedi: Child of Hope

強いフォースを内に秘めた少女カーラは、仲間と共にジェダイを探す旅の途中、ジェダイハンターの襲撃を受ける。戦闘の混乱で仲間とはぐれ、宇宙空間に投げ出されたカーラは、一隻の古びた漂流船に救助される。船内でカーラが出会ったのは、給仕用ドロイドのテト。テトはカーラをジェダイと信じ込み、病に倒れバクタタンクで眠る主人を助けてほしいと懇願する。カーラはテトに協力しようとするが、そこへカーラを追うジェダイハンターたちが乗り込んでくる。絶望的な状況の中、カーラとテトは二人で強大な敵に立ち向かう。
今回の作品の中で、唯一シリーズ化が決まっている『The Ninth Jedi』。そのため、本作は一作目とシリーズをつなぐ、橋渡し的な位置づけであったが、その完成度は前作を大きく上回り、シリーズへの期待を一層高めるものとなった。カーラはこの試練を通じて、ジェダイへと成長しなくてはならないという決意をより強めた。彼女のライトセーバーは未だにくすんで見えたが、彼女が「真のジェダイ」となり、鮮明に光り輝く瞬間はいつ訪れるのだろうか。

デザイン面では前作の和風テイストから大きく方向転換している。今回の宇宙船は洋風の現実的なデザインを取り入れていたようで、Production I.Gのファンとしては、『PSYCHO-PASS』の後期デザインを思わせる印象を受けた。「和風」ではなく、「I.G風のスター・ウォーズ」を構築していくという指針が垣間見え、その高い地力が存分に発揮されている。(ドミネーターの日髙のり子さんを起用していたので、オマージュという面もあるだろう)。

物語構造はジェダイという希望、親子の愛、父探しという神話的要素が巧みに組み込まれている。表面的にはスター・ウォーズらしさから一歩離れているように見えても、その根幹は確かにシリーズの神髄を捉えているのだ。この作品が今後新しいスター・ウォーズ像を切り拓いていくことに大きな希望を抱かせる。シリーズは来年2026年に配信開始予定であり、その幕開けに向けてファンの期待はますます高まっている。

The Bounty Hunters

女性賞金稼ぎのセブンと、二重人格ドロイドのIV-A4 は、バディのバウンティハンターとして無法の時代を生きていた。ある日、宇宙船の損傷により、修理費を稼ぐため近くの鉱山惑星ゲンヤに立ち寄ることに。そこで二人は、資源開発会社のCEO ジン-シムから、採掘を妨害している武装組織の鎮圧を依頼される。高額な報酬と安定した身分の保障という魅力的な提案を受け、早速任務に取り掛かる二人だったが、組織のリーダー・エンオとの遭遇をきっかけに、この依頼の裏に隠された複雑な事情を知ることになる。報酬か、それとも自身の信念か。セブンは大きな決断を迫られる。
賞金稼ぎというならず者が改心し奴隷を救うという構図は普遍的かつ心惹かれる。リッチな映像も相まって一本の独立したSF作品としても大いに楽しめる。その上で、主人公セブンの動機の発端としてジェダイの存在が描かれることで、スター・ウォーズらしさが加わり、隙のない一作となっている。ジェダイは人を、そして銀河を変える力を持つ存在であり、彼らの登場はこの作品に必然性と重みを与えている。ジェダイが居るからこそのスター・ウォーズなのだ。

ビジュアル面でもファン心をくすぐられる仕掛けが多い。金ぴかで人が乗って操れる巨大ドロイデカなどはファンを興奮させる。さらに、この作品独自のキャラクターであるIV-A4が物語を一層面白くしている。二重人格という設定に加え、声優・杉田智和さんの演技がユーモアと深みを同時に生み出している。「ポチっとね」は明らかに『ヤッターマン』のオマージュであり、そしておそらくアドリブであろう(笑)

同時に、本作は「家族の物語」でもあった。孤児だった主人公セブンは、家族が居ない痛みを知っているからこそ、奴隷たちの解放に手を貸す。IV-A4もまた、セブンが自分をただの道具ではなく友人、そして家族として大切に思っていることを知り、彼女を救うために戻ってくる。スター・ウォーズが描いてきた「絆」のテーマがここでも力強く響いているのだ。凸凹で唯一無二のこのコンビはこれからも広い銀河で様々な冒険を繰り広げるのだろう。そんな未来を想像させる作品だった。

ユコの宝物

タトゥイーンのとある町に住んでいる少年のユコとお世話ドロイドのビリー。
甘えん坊なユコの誕生日、町に水を売りに行ったビリーは謎の少年・ソラと出会う。ソラが「家族を探している」とビリーに見せた写真には、ユコの両親が映っていた。嫌な予感がしたビリーは急いで帰るが、その夜、誕生日会の最中、キツネミミの海賊に襲われてしまう。さらに、混乱の中ビリーが海賊に攫われてしまった。ユコとソラはビリーを取り戻すため、海賊を追いかけ冒険へと出発する。冒険の先に待つキツネミミとの戦い、そして、その先でユコたちが見つけたものとは――。少年たちが巻き起こす愛と友情の冒険譚。 
本作の雰囲気は、親しみやすい夕方アニメのような温かさに満ちている。ヴィランであるキツネミミの海賊団も、コミカルで憎めないキャラクターとして描かれ、逆に安心感を与えている。最大の魅力はやはりビリーだ。お腹に電子レンジを備えたユニークなデザインを持ち、名前が 「Baby I love You」の略であることが示す通り、ユコに無償の愛を注ぐ存在である。孤児であるユコにとって、ビリーは絶対的な保護者であり、家族そのものだ。だからこそ、海賊団に連れ去られ敵のダース・ベアー(コンセプトアートより)として立ちはだかる展開は、ユコにとって最大の試練となる。そんなユコを支えるのが、少し年上の少年ソラである。彼もまた孤児であり、時にはグレーな仕事を請け負いながらしたたかに生き抜いてきた。ユコからビリーを奪う一助となってしまった彼は、その罪悪感からユコを助ける決意を固める。

海賊団が金という俗物的な「宝物」を追い求める一方で、ユコとソラは愛と絆という「最高の宝物」を見つける。ユコは両親から愛と彼らの想いとしての船を受け継ぎ、ソラはユコとビリーという家族を得る。亡き両親は戻らないが、その愛は確かにビリーを通じてユコに生き続けている。本当に大切な宝物とは、物質ではなく愛そのものだという普遍的な真理がここに描かれている。

タトゥイーンを舞台にする作品としては、ボリューム1の「タトゥイーン・ラプソディ」に続いて2作目だ。本作でも、モス・アイズリーなどのファンにとって馴染み深い風景が描かれた。ルークやアナキンの近所に、こんな物語があったと想像するのは楽しい。戦記物としての厳しさだけでなく、銀河に優しさが息づいていることを示す本作は、スター・ウォーズというユニバースの奥深さを広げる、シリーズになくてはならない心温まる一作である。

彷徨う者たち

銀河中が帝国の黒い影に覆われていた時代。ジェダイの一人・エフはオーダー66 を生き抜き、人助けをしながら宇宙を彷徨っていた。帝国軍との戦いで負傷したエフは、義足を修理してもらうために古い友人を訪ねる。しかし辿り着いた惑星は、採掘場から漏れ出したカーボナイトが原因で生き物が住めなくなってしまっていた。星の住人は避難船に乗り、安住の地を求めて宇宙を漂い続けている。エフは友人と再会し、束の間、避難船に身を寄せるのだが……。突如、避難船の前に現れる帝国軍。スターデストロイヤーが砲撃し、ジェダイであるエフに出頭するよう脅迫する。その追手の中には、エフにとって因縁のある人物が乗っているのだった――。
ボリューム1「村の花嫁」に続く本作は、ジェダイ像の解像度の高さに加え、スター・ウォーズのファン心をくすぐる描写が随所に散りばめられていた。前作がオリエンタリズムを強く押し出していたのに対し、今作の舞台となる惑星イノリは地中海都市を思わせるデザインで、異なる趣を持ちながらも甲乙つけがたいほど魅力的だ。特に、イノリが「カーボナイト凍結の嵐」という災害に見舞われているという設定は、これまでありそうでなかった新鮮なアイデアだ。さらに、モン・カラマリの船長やスターデストロイヤー潜入といった描写も加わり、スター・ウォーズらしい高揚感を存分に味わえる。

前作で過去と向き合い、再びジェダイとして生きることを決意したエフ。本作ではその覚悟が問われる。助けを差し伸べたにもかかわらずエフを帝国に売る難民。死から蘇ったかつての師「ゼロ」はそんな大衆に失望し、弱者を守ることの無意味さを説く。その憎しみに対してエフが出す答えは「共生」だ。強大な力を持つようなジェダイも、取るに足らないような存在に思える弱者が居るからこそ存在できている。その思想を体現するかのようにエフはロンから託されたカーボナイトを用いて、実力ではかなわないゼロを止めることに成功する。そして師弟対決で手足を失いながらも、ロンに救われる。こうして、エフは時代を超えてかつての師「シャドラ」の想いを受け継ぐ。ジョージ・ルーカスがスター・ウォーズの神髄として描こうとしていた、場所と時代を超えた「共生」が新たな形で提示される。

ジェダイへの解像度は『ビジョンズ』全27作の中でもずば抜けて高い。スター・ウォーズの大ファンである垪和監督の功績は大きく、この作品も「The Ninth Jedi」と同様にシリーズ化してもらいたいと心の底から願っている。「The Ninth Jedi」は非正史としての側面が強いが、本作はシリーズ化されれば正史に組み込まれる可能性すら感じさせる。苦難の時代を生き抜くエフが、ジェダイとしてどのように成長していくのか。その続きを心から見たい。

The Smuggler

帝国の介入を受けた惑星ゼナリタ。帝国とのトラブルを抱えていた密輸業者のチタはゼナリタからの脱出を焦っていたが、法外な船の修理費を請求されて足止めをくらっていた。
途方に暮れるチタは見ず知らずの女性から高額な仕事のオファーを受ける。それは彼女を含む二人の人間を他の星へ運ぶという依頼だった。チタは訳ありな事情を感じながらもその仕事を受ける。そしてそのために予想外のトラブルに巻き込まれていく。
まるで『新たなる希望』をもう一度観るかのような作品。ハン・ソロと同じ密輸業者が、帝国に追われた2人を惑星から脱出させる仕事を引き受けるという構図を持ち、スター・ウォーズの原点を想起させる。監督はボリューム1で『The Elder』を手掛けた大塚監督。『新たなる希望』を初めて観たときのインスピレーションを基に制作されたという背景からも、作品への深い愛情を感じさせる。

登場人物も、『新たなる希望』に負けず劣らず魅力的な人ばかりだった。ならず者ながらも確固たる芯を持つチタ。民を最優先に考える高潔なアロー王子。秘密を持ちながら物怖じしない態度で安心感を与えるグリーヌ。特にグリーヌがライトセーバーを取り出す場面には驚かされた。三者三様の個性が交わり、互いに影響し合いながら物語は進んでいく。アロー王子の高潔さは二人を導く灯火となり、かつてジェダイを辞めたグリーヌも、ならず者のチタも彼に導かれて反乱同盟軍へと加わる。

物語は、3人がヤヴィンIVにたどり着くことで幕を閉じる。『キャシアン・アンドー』でヤヴィン基地の成り立ちを観たばかりだからこそ、この描写はより印象的だった。反乱者たちが集い、反乱同盟軍が結成された地。その中にアローやチタが居たという想像はさらに奥行きを与える。本作も『キャシアン・アンドー』と同様に、反乱同盟軍の背景をなすかけがえのない物語なのだ。非正史作品ながらも、正史の物語と共鳴し、反乱同盟軍の誕生に新たな物語を添えることで、スター・ウォーズ銀河の広がりを感じさせた。

極楽鳥の花

ジェダイの修行に励む中、戦闘により盲目となってしまい遭難したパダワンの少女ナキメ。視力を失ったナキメは、恐怖と猜疑心にさいなまれながらも「なんとしても生き伸びたい」と願う中、邪悪な存在にダークサイドへと誘惑される…
本作を手掛けたのは、『クローン・ウォーズ』以来スター・ウォーズに関わってきたポリゴン・ピクチュアズ。目には見えないフォースを映像で表現するという大胆な挑戦を見事に成功させ、その映像美は『ビジョンズ』の中でも際立っていた。光や影、花や水といった抽象的なビジュアルを通じてフォースの存在を体感させる演出は圧巻である。

修行途中の未熟さがゆえに盲目になった主人公のナキメは、迫りくる死の脅威から逃れるためにと歩みだす。だが、その旅路はただの生存のための物理的な逃走ではなく、最終的には内面を探る精神的な旅へと変わっていく。そこには自己内省の哲学的な物語があり、さらに民間信仰やアニミズムといった東洋思想が重なり合うことで、日本のスタジオならではのスター・ウォーズ作品となっている。

指摘する声も多いが、やはり本作はキューブラー・ロスの「死の受容」を想起させる。否認と隔離→怒り→取引→抑うつを経て、ナキメは死を受容する。死を恐れる自分勝手な弱い自分の存在を認め、自らが宇宙を繋ぐ力場であるフォースと一体であることに気づき、悟りを得るのだ。エンディングで彼女が師のもとに戻らないのは象徴的な演出だ。もはや生死そのものに意味はなく、彼女にとって存在するのはただフォースとの一体性だけなのだ。生と死を超え、フォースと一体となる境地を描いた本作は、哲学的な深みと映像美を兼ね備えた作品である。

BLACK

劣勢な戦いの中、帝国のトルーパーの取り憑かれた精神がサイケデリックな戦いを繰り広げる。
言葉を失うほど圧倒的で実験的な映像表現を「魅せる」作品だ。ストームトルーパーというやられ役の視点から、戦争の狂気がサイケデリックに描かれる。デス・スターやXウィング、TIEファイターといったスター・ウォーズらしいデザインが散りばめられながらも、同時にこれまで見たことのないスター・ウォーズが広がっていた。

描かれているのは普遍的な戦争の狂気。途中で差し込まれる地球のような平和な風景が、その対比をより鮮烈にし、戦争の異常さを際立たせる。赤と緑の隻腕でひげ面のトルーパーが互いに争う姿は、もともと一人の人物が分裂した象徴のようにも見える。狂気と正気、狂喜と悲嘆、正義と感情――その意味は観る者に委ねられている。

しばしば現れる臓器のようなシンボルは、戦争の痛々しさを強調する。さらに、ハイパージャンプの効果音とともに背景が変化する演出は、スター・ウォーズならではの印象を残す。狂気的でありながら、映像と音楽のシンクロには不思議な心地よさすら漂っていた。

狂気と美が交錯する本作は、『ビジョンズ』ボリューム3を締めくくるにふさわしいインパクトを放ち、スター・ウォーズ表現の可能性を広げる挑戦的な一作だった。




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ジェイK
スター・ウォーズが大好きで、布教に励むファンです。普段は、主にX(旧Twitter)に生息。レジェンズ作品から最新ドラマまで、スター・ウォーズなら何でも好みます。全ての作品に基本は肯定的!

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