『マンダロリアン・アンド・グローグー』ファンアンケート1,135件を分析――グローグーだけではなかった作品の魅力

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 『マンダロリアン・アンド・グローグー』の日本での興行については、公表されている興行収入のデータを分析した以前の記事で、公開後も観客が途切れなかったことを書いた。では、実際に観た人は何を気に入り、なぜ何度も映画館に通ったのか。

スター・ウォーズ レンメイでは、9月21日から10月2日まで、本作のファンアンケートを行った。回答は1,135件。回答にはGoogleアカウントでのログインを必須とし、本記事では1回答を1人として集計している。好きなキャラクター、興味を持ったきっかけ、映画館へ行った理由、良かったところ、再鑑賞の理由などを尋ねている。劇場で観た人だけでなく、劇場以外でしか観ていない人にも答えてもらった。

想像を超える数の回答をいただいた。この場を借りて、改めて感謝申し上げたい。本当にありがとうございました。自由回答はどれも熱のこもったもので、興行の数字だけでは分からなかった受け止められ方が見えてきた。

ただし、これは任意参加のファンアンケートで、日本で本作を観た人全体の縮図ではない。女性や、複数回映画館で観た人がかなり多く、偏りははっきりある。そこは踏まえたうえで、1,135件の回答から、本作を好きになった人が何を楽しんでいたのかを読んでいきたい。興行の数字からは、公開後も需要が続いたことが分かった。では、映画館へ足を運んだ人は、本作の何を楽しんでいたのか。

回答者の顔ぶれと、一番人気のディン・ジャリン

回答者1,135人のうち、女性は995人で87.7%。男性は107人(9.4%)、その他・回答しないは33人(2.9%)だった。年代は40代が360人(31.7%)で最も多く、50代277人(24.4%)、30代270人(23.8%)が続く。性別と掛け合わせると、30〜50代の女性だけで818人、全体の72.1%になる。もちろん、これを映画の観客全体の男女比と見ることはできない。ただ、今回の回答が30〜50代女性に大きく偏っていることは、以後の結果を読むうえで重要だ。この層の鑑賞回数についても後で見ていきたい。


一番好きなキャラクターを一人選んでもらったところ、最多はグローグーではなくディン・ジャリン/マンダロリアンだった。543人(47.8%)が選び、グローグーは469人(41.3%)で2位。以下、ロッタ42人(3.7%)、エンボ25人(2.2%)、ゼブ10人(0.9%)、ウォード大佐8人(0.7%)と続く。自由記入には「ディン親子」「二人とも同じくらい好き」「一人には選べない」という回答もあった。これらはこちらで振り分けず、そのままにしている。


女性995人だけで見ても、ディンが483人(48.5%)、グローグーが431人(43.3%)で、ディンがやや上回る。

ただ、「女性に人気」でひとまとめにすると、年代ごとの違いが埋もれてしまう。20代女性はディン48人に対してグローグー17人、30代は139人対77人で、ディンが大きくリードしている。50代になると逆転して、ディン99人に対してグローグー141人。60代も28人対49人でグローグーが多い。40代はディン162人、グローグー142人と接戦だった。


この数字だけでは、なぜ年代で好みが分かれたのかまでは分からない。確かなのは、回答者の大半が女性だったことと、その中でもキャラクターの人気が一様ではなかったことだ。全体で見れば、一番好きなキャラクターに選ばれたのはディン・ジャリンだった。

では、本作に興味を持った最初のきっかけもディンだったのか。こちらは、かなり違う結果になっている。

最初に惹かれたものと、映画館へ行く決め手

一番好きなキャラクターではディン・ジャリンが最多だった。ところが、本作に最初に興味を持ったきっかけを聞くと、結果は大きく変わる。

「ちょっと気になる」「観てみたい」と思ったきっかけで最も多かったのは、「グローグーに惹かれた」の651人。回答者1,135人の57.4%にあたる。次いで「SNSでの評判・口コミを見たから」が389人(34.3%)、「久しぶりのスター・ウォーズの新作映画だったから」が290人(25.6%)、「予告編・映像を見て面白そうだと思ったから」が271人(23.9%)。「マンダロリアン/ディン・ジャリンに惹かれた」は261人(23.0%)だった。


この設問は最大3つまで選べるので、一人が複数のきっかけを挙げている場合もある。グローグーが気になり、SNSで評判を見て、予告編でさらに関心が高まった、という具合だ。それでも半数を超える人がグローグーを選んでいる以上、今回の回答者にとって、グローグーが非常に強い入口だったのは間違いない。

自由回答には可愛さを挙げる声もあり、SNSに流れてきたイラストや動画、広告でその存在を知り、「このキャラクターは何者なのか」と気になったという声もあった。スター・ウォーズに詳しくなくても、グローグーだけはどこかで見たことがある。そんなところから作品に近づいた人もいたようだ。

とはいえ、気になることと、実際に映画館へ行くことは別の話だ。劇場で観た1,087人に、映画館へ行こうと思った一番大きな理由を一つだけ選んでもらうと、最多は「SNSや口コミで評判が良かった」の189人(17.4%)だった。以下、「グローグーが好きだった」が166人(15.3%)、「久しぶりのスター・ウォーズ映画だった」が157人(14.4%)、「『マンダロリアン』シリーズが好きだった」が141人(13.0%)と続く。

最初の興味ではグローグーが突出していたが、映画館へ行く最後の一歩では、口コミがわずかに最多となった。ただし、二つの設問は選び方も母数も違うため、数字をそのまま比べることはできない。

また、グローグーを入口にした人が、観た後もグローグーだけを一番好きになったわけではない。「グローグーに惹かれた」を興味のきっかけに選び、劇場でも観た回答者は621人。この人たちの「一番好きだったキャラクター」は、グローグーが320人(51.5%)で最多だったものの、ディン・ジャリンも258人(41.5%)に達した。その他のキャラクターは43人(6.9%)だった。


今回のアンケートでは鑑賞前に一番好きなキャラクターを聞いていないため、「グローグー目当てで観に行った人が、観てディンに乗り換えた」とは言えない。しかし、入口がグローグーだった621人のうち4割以上が、回答時点ではディンを一番に選んでいるのは非常に象徴的な数字だ。

ここまでを見る限り、本作への支持を「グローグー人気」の一言で説明するのは難しい。では、実際に観た人は、本作の何を良かったと感じたのか。次の設問では、ディンとグローグーのどちらか一人ではなく、二人の関係そのものが際立っていた。

観て良かったのは、二人の関係

劇場で観た1,087人に、良かったところを最大3つまで選んでもらった。突出して多かったのは「マンドーとグローグーの関係」で、881人、81.0%が選んでいる。2位は「グローグー」の331人(30.5%)、3位は「マンダロリアン/ディン・ジャリン」の313人(28.8%)。以下、「アクション」275人(25.3%)、「初めてでも楽しめるところ」262人(24.1%)、「音楽・音響」239人(22.0%)、「ストーリー」238人(21.9%)と続く。


最大3つまで選べる設問なので、これらの項目は競合しない。ディンを選んだ人が、グローグーや二人の関係も選んでいる場合はある。それでも、8割を超えた「二人の関係」は際立っている。

ここまでの結果を並べると、興味を持つ入口ではグローグーが強く、一番好きなキャラクターではディンが最多だった。ところが良かった点を聞くと、どちらか一人ではなく、二人が一緒にいること自体が最も多く選ばれた。

前節の「グローグーに惹かれた」劇場鑑賞者621人に絞っても同じで、541人、87.1%が「マンドーとグローグーの関係」を挙げている。グローグーが入口になったとしても、そこで見つけた魅力はグローグー一人にとどまらなかった。

では、この「二人の関係」は、ドラマを追ってきたファンだからこそ分かるものだったのか。鑑賞前にドラマ『マンダロリアン』をまったく観ていなかった劇場鑑賞者657人のうち、「二人の関係」を選んだのは530人、80.7%。シーズン1〜3をすべて、あるいはほぼすべて観ていた327人では269人、82.3%だった。ほとんど差がない。


ただ、数字が近いからといって、ドラマを観ていた人とそうでない人が同じように二人を見ていたわけではない。

未視聴者には、強い戦士と小さなグローグーという組み合わせや、親子であり相棒でもある関係そのものに惹かれたという声があった。一方、ドラマを追ってきた回答者の中には、守られる側だったグローグーがディンを助ける姿に、成長を感じた人もいる。

中でも印象的だったのが、本作を「それぞれの因果や問題から解き放たれた」二人の物語として捉えた回答だ。  「普通の生活をして、賞金稼ぎとして活動している様子を見られる初めてのストーリーだったのが、既にご褒美」。ドラマでは、ディンもグローグーも何度も引き離され、自分がどこに属するのかを問われてきた。その二人がようやく親子として暮らし、仕事をし、共に戦う。本作では、大きく物語を動かすこと以上に、二人が一緒にいられる時間そのものを楽しんだ人がいた。

私は公開直後のレビューで、本作を映像体験として楽しめる一方、親子の物語は「進んでいるようで進んでいない」と評した。その見方も一つとしてはある。ただ、今回の回答には、物語が大きく前へ進むこと以上に、それまでの旅を経た二人が一緒に暮らし、行動する時間を喜ぶ声があった。

毒から回復したディンがグローグーに「我らの道」と告げる場面を、庇護される子どもからマンダロリアンの同胞へと認められた瞬間のように受け止めた回答もあった。親子であり、弟子であり、共に戦う仲間でもある。本作は、そうした二人の関係を少しずつ変化させている。

そして、その魅力はドラマを全部知っている人だけのものではない。未視聴者には一本の映画で成立する親子や相棒として、既存ファンには長い旅の先にいる二人として、それぞれ違う厚みで届いていたのだと思う。二人をもう少し見ていたい。そう観客に思わせたのだろう。

なぜ、何度も映画館へ通ったのか

その「二人をもう少し見ていたい」という気持ちは、実際の鑑賞行動にも表れている。回答者のうち映画館で本作を観たのは1,087人。そのうち2回以上観た人は895人、82.3%にのぼる。任意参加のファンアンケートなので、映画館で観た人の8割がリピーターだったというわけではないが、これだけ多くのリピーターから回答が集まったおかげで、「なぜもう一度観ようと思ったのか」を詳しく見ることができる。

2回以上観た人に再鑑賞の理由を複数回答で尋ねたところ、有効回答894件のうち最多は「マンドーとグローグーをもう一度観たかった」の679件、76.0%だった。続いて「映画館の大画面・音響でもう一度体験したかった」が558件(62.4%)、「IMAX・4DXなど別の上映形式でも観たかった」が516件(57.7%)、「ストーリーや細かい部分をもう一度確認したかった」が480件(53.7%)。さらに「単純に作品が好きだった」が456件(51.0%)、「アクションや映像をもう一度観たかった」が453件(50.7%)で、ここまでがいずれも半数を超えている。


前節では、良かったところとして「マンドーとグローグーの関係」が81.0%と突出していた。再鑑賞でも、「二人をもう一度観たかった」が最多になっている。ただ、自由回答を見ると、何度も通った理由は一つではない。最初はグローグーを目当てに観て、次はディン、ドラマを観た後は二人の関係、さらに細部の確認や4DXなどの上映形式へと、鑑賞するたびに目的が増えていったという回答もあった。その回答者は、  「全て映画館に行った目的は違います」「噛めば噛むほど味がしました」  と振り返っている。一度観ることで次に見たいものが生まれ、それがまた次の鑑賞につながっていた。

特に目立ったのが、映画を観てからドラマへ進み、もう一度映画に戻る流れだ。自由回答には、映画のあとでドラマを初めて観たり、途中から見終えたり、改めて見直したりして、再び映画を観た例もあった。その順序を原文から確認できた回答は、少なくとも41件ある。過去を知らずに観れば一組の親子の冒険として楽しめ、ドラマを知った後には、それまでの旅を経たディンとグローグーの物語として見えてくる。同じ映画でも、再鑑賞する理由そのものが変わっていた。

上映形式の違いも、何度も観る理由になっていたようだ。通常上映、IMAX、4DX、Dolby Cinema、MX4Dのうち、たくさんの形式を体験した人ほど、鑑賞回数も多い傾向がはっきり出ている。統計的に見ても、その関係はかなり強かった(Spearmanの順位相関係数=0.697)。ただし、これは「特殊上映があったから鑑賞回数が増えた」と言い切れる数字ではない。もともと何度も観る人だから、色々な上映形式を試したとも考えられる。

一方で、再鑑賞の理由として57.7%が「別の上映形式でも観たかった」、62.4%が「大画面・音響でもう一度体験したかった」と答えている。自由回答には、作品を好きになって別の形式を試し、それぞれの体験を楽しんだという声もある。上映形式を変えることは、少なくとも一部の回答者にとって、もう一度映画館へ行く理由になっていた。

もう一つ目立ったのが、「何度でも観やすい」という感覚だった。中には「終わり方が爽やかで気分よく映画館を出られ、元気を貰えた」と振り返る回答もある。作品の軽快さそのものが、再鑑賞の理由になっていた。

一度観れば終わる作品ではなく、二人にもう一度会う、細部を見る、吹替で観る、別の上映形式を試す、ドラマを観てから戻る。そうして一度の鑑賞が、次の鑑賞の理由を生んでいた。
今回特に回答が多かった30〜50代女性に絞ると、劇場で観た785人のうち666人、84.8%が2回以上、378人、48.2%は5回以上観ていた。

また、劇場鑑賞者全体では870人、80.0%が「1人で観た」経験を選んでいる。常に一人だったという意味ではないが、自分の都合で映画館へ戻るという観方も広く見られた。

今回の回答者には、もともと再鑑賞への熱量が高い人が多い。それでも、「好きだから何度も観た」だけでは足りない。『マンダロリアン・アンド・グローグー』は、観るたびに楽しみ方が増えていく映画でもあった。

まだ観ていない人に、何を薦めるか

ここまで見てきたのは、観客自身が何を好きになり、なぜ映画館へ戻ったのかだった。では、その人たちがまだ観ていない誰かに薦めるなら、何を伝えるのか。

「ここがいい!」と一つだけ薦めるなら何を選ぶか尋ねたところ、最多はここでも「マンドーとグローグーの関係」で、605人、全回答者の53.3%が選んだ。2位は「初めてでも楽しめるところ」の275人(24.2%)。以下、「グローグー」84人(7.4%)、「マンダロリアン/ディン・ジャリン」34人(3.0%)、「アクション」31人(2.7%)、「ストーリー」28人(2.5%)と続く。


実際に良かったところでは81.0%、再鑑賞の理由では76.0%が二人を挙げ、人に薦めるときも「二人の関係」が最多になった。今回のアンケートで繰り返し現れる本作の魅力は、かなりはっきりしている。

一方、推薦の場面では「初めてでも楽しめるところ」が大きく順位を上げる。劇場で観て、これを推薦ポイントに選んだ264人に、自分が観て良かったものを確認すると、193人、73.1%が「マンドーとグローグーの関係」を選んでいた。自分が良かった点に選んだものと、まだ観ていない人に一つだけ薦めるなら選ぶものは、必ずしも同じではない。二人の関係も評価しながら、推薦では「初めてでも楽しめるところ」を選んだ回答者がいた。

半世紀近い歴史を持つスター・ウォーズに新しく入るとき、「過去作を知らないと分からないのでは」という不安は一つのハードルになりやすい。今回も、「スターウォーズを知らなくても分かると聞いて」本作に興味を持った新規層の回答があった。この人は公開から1か月以降に初鑑賞し、二人の関係や「初めてでも楽しめるところ」を評価したうえで、4DXでもう一度観ている。一例ではあるが、「スターウォーズを知らなくても分かると聞いて」興味を持ち、公開から1か月以降に初鑑賞した後、4DXでもう一度観た回答があった。

口コミの影響を集計しても、同じ傾向が見える。鑑賞前にドラマ『マンダロリアン』をまったく観ていなかった劇場鑑賞者657人では、170人、25.9%が「SNSや口コミで評判が良かった」を映画館へ行く最大の理由に選んだ。シーズン1〜3をすべて、あるいはほぼすべて観ていた327人では10人、3.1%だった。


ドラマを追っていたファンには、それ自体が映画館へ行く理由になる。一方、未視聴者には「評判がいい」「知らなくても楽しめる」という周囲の声が、来場の後押しになった可能性がある。

そして、映画館へ行かなかった人の回答を見ると、別の側面も見えてくる。回答者1,135人のうち、劇場では観ず、配信などでのみ本作を観たのは48人だった。劇場へ行かなかった最大の理由は「時間・タイミングがなかった」の26人。さらに、観たあとに「映画館で観ればよかった」と強く、あるいは少し思った人は39人にのぼった。

この48人でも、「マンドーとグローグーの関係」を良かった点に選んだのは43人だった。人数が少ないため、ここから潜在的な観客数を推定することはできない。ただ、「興味がなかったから劇場へ行かなかった」とは限らず、タイミングを逃したあとに作品を楽しみ、「映画館で観ればよかった」と感じた人もいた。

今回の回答を見る限り、本作には「知らなくても楽しめる」と薦めやすい入口があり、その先では二人の関係が支持されていた。一方で、その入口が届く時期によっては、劇場鑑賞に間に合わなかった人もいたことになる。では、実際に観客はいつ本作を観始めたのか。

公開後に来た観客と、日本のロングヒット

以前の記事では、『マンダロリアン・アンド・グローグー』の日本興行について、公開直後の勢いだけでは説明しにくい推移を取り上げた。初動は突出していなかったが、その後も上映が続き、公開から時間が経っても観客が残った。

今回のアンケートは、本作を特に気に入った人や、何度も観た人が多く、この興行推移を直接説明するものではない。ただ、「いつ初めて映画館で観たのか」と、それまでのスター・ウォーズとの関わりを組み合わせると、公開後に入ってきた観客の姿が少し見えてくる。

普段のスター・ウォーズとの関わりについて「今作をきっかけに初めて/ほぼ初めて触れた」と答えた人を、ここでは便宜上「新規層」と呼ぶ。初めて映画館で観た時期ごとに新規層の割合を見ると、公開初日から3日目は11.8%、4日目から1週間では27.7%、2〜4週間では39.1%と上がっていく。公開から1か月以上たって初めて映画館へ行った人では、56.9%が新規層だった。


今回の回答者に限れば、公開直後に観た人ほど既存のファンが多く、時間が経ってから観た人ほど、新しくスター・ウォーズに入ってきた人の割合が高かった。熱心なファンほど早く観るのは当たり前だ、と言われればそれまでだが、映画館へ行った理由を見るともう一つ変化がある。

「SNSや口コミで評判が良かった」を映画館へ行く最大の理由に選んだ割合は、公開初日から3日目では0.4%にすぎなかった。まだ観た人がほとんどいない時期なので、これは当然だろう。それが2〜4週間では27.7%、1か月以降でも23.9%になる。初日〜3日目に比べ、公開後の各時期には口コミを最大の来場理由に挙げる回答者の割合が高かった。特に公開2〜4週間では27.7%だった。


ここまでを重ねると、一つの流れが見えてくる。公開直後の回答者には既存ファンが多く、後から初鑑賞した回答者ほど新規層の割合が高かった。同じく、公開後には口コミを来場理由に選ぶ割合も高まっている。既存ファンの鑑賞を経て評判が広がり、新しい観客へ届いたという見方と整合する結果だ。今回の回答者では、初鑑賞の時期が遅いほど、その時期に初めて観た回答者の中で新規層が占める割合が高かった。

その人たちは、一度観て終わりとも限らない。新規層のうち、公開2週目以降に初めて映画館で観た人は301人いて、そのうち237人、78.7%が2回以上劇場で観ている。公開後に入ってきた観客の中にも、リピーターになった人がいた。

第4節で見た「映画→ドラマ→映画」の動きも、ここにつながる。新作を入口にドラマへ進み、二人の過去を知ってから、もう一度映画へ戻る。スター・ウォーズでは「過去作を知らないと楽しめないのでは」と思われがちだが、本作では新作から過去作へさかのぼる流れも起きていた。

また、後から観始めたのは完全な新規層だけではない。「過去のスター・ウォーズ作品は観ていたが、最近はあまり追っていなかった」と答えた人も414人いた。本作は、新しい観客だけでなく、一度シリーズから離れていた人を呼び戻す入口にもなっていた可能性がある。

前回の記事で挙げた「新しい層への浸透」「ドラマ未視聴者への入口」「口コミ」という仮説には、今回のアンケートから一定の裏付けが加わったと思う。さらに、普段どれほどスター・ウォーズを追っているかと初鑑賞時期にはある程度の関連があった一方(CramérのV=0.300)、鑑賞回数との関連はかなり弱かった(V=0.073)。つまり、熱心なファンほど早く観る傾向はあっても、何度観るかは元々のファン度だけでは決まっていない。女性回答者に絞っても同じ傾向だった。

何度も映画館へ戻ったのは、以前からのコアファンだけではない。新しく入った人や、久しぶりに戻った人の中にもリピーターがいた。その背景には、二人の関係や、何度でも観やすい作品としての性格があったのだろう。特に回答の多かった30〜50代女性では、劇場鑑賞者の84.8%が2回以上観ていた。この層の継続的な鑑賞が上映を支えた可能性はある。

公開から時間が経つほど新規層や口コミをきっかけにした回答者の割合は高まり、その一部はリピーターになっていた。日本でのロングヒットは、公開直後から観ていたファンだけでなく、公開後にも新しい観客が加わり、その一部が何度も映画館へ戻っていった動きとあわせて考える必要がありそうだ。

おわりに――二人を好きになった、その先へ

アンケートを始める前、私が特に気になっていたのは、『マンダロリアン・アンド・グローグー』が日本で長く観られた理由だった。興行成績を追えば、公開後も需要が残ったことは分かる。ただ、その数字の中にいた人たちが何を好きになり、なぜもう一度映画館へ行き、誰に何を薦めようとしたのかまでは分からない。

1,135件の回答を見ていくと、その中心には何度もディン・ジャリンとグローグーが現れた。本作に興味を持つ入口としては、グローグーが圧倒的に強い。一方、一番好きなキャラクターではディン・ジャリンが最多だった。そして、観て良かったところ、もう一度映画館へ行きたいと思った理由、まだ観ていない人に薦めたいところでは、どちらか一人ではなく「二人の関係」が繰り返し選ばれた。

グローグーが人気だったのは間違いない。ただ、回答を読んでいると、それだけで本作への支持は説明できないと感じる。グローグーをきっかけに映画へ入り、そこでディンを好きになった人がいる。二人が支え合う姿を好きになった人もいる。映画のあとにドラマへ進み、それまで知らなかった二人の時間を知ってから、もう一度映画館へ戻った人もいた。観客が好きになっていたのは、キャラクター単体ではなく、ディンとグローグーが一緒にいる時間そのものだったのだと思う。「物語がどれだけ前へ進んだか」だけでは拾えない楽しみ方があることを、今回の回答は教えてくれた。

同時に、本作は既存ファンだけの作品でもなかった。ドラマを観ていない人にも二人の関係は支持され、公開後に初めてスター・ウォーズに触れた人もいた。その中には、映画を入口にドラマへ進んだ人がいる。

この映画をきっかけに新しくスター・ウォーズを知った人がそのまま銀河に残るのか、『マンダロリアン・アンド・グローグー』が今後、スター・ウォーズの歴史の中でどんな作品として残るのかは、まだ分からない。ただ、日本でこの映画を何度も観た人たちの声を追っていくと、はっきりしていることが一つある。グローグーが入口となり、ディンにも強い支持が集まり、そして二人をもっと見ていたくなった。その気持ちが、少なくとも今回集まった1,135件の回答の中では、何度も映画館へ戻る理由になり、新しい観客にスター・ウォーズを薦める言葉にもなっていた。

ディンとグローグーの次の旅が始まったとき、今回この映画から銀河へ入った人たちは、また二人に会いに来てくれるのか。今度は、その続きを見てみたい。スター・ウォーズ レンメイも引き続き『マンダロリアン・アンド・グローグー』、そしてスター・ウォーズについて調べ、考え、記録していく。

筆者:ジェイK(@StarWarsRenmei)

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筆者

ジェイK
プリクエル三部作~『クローン・ウォーズ』直撃世代。多くの人を動かし、時代とともに形を変え続ける“現代の神話”としてのスター・ウォーズに魅入られ、映画・ドラマから小説、レジェンズ、制作背景、ファン文化まで幅広く追い、記事を執筆しています。Xでは最新情報を日々発信中。